福祉業界 お役立ち情報

コラム紹介とは こんにちは!ふくみっとの中の人です! 「コラム紹介」とは!私が出会ったコラムの中で、介護職に携わる皆さまにぜひお伝えしたい名コラムを紹介するコーナーです! このコラムは、福祉人材の育成に尽力されているノートルダム女子大学教授の「三好 明夫」先生が、2004年頃に愛媛新聞に寄稿されていた、『介護人への12章』です。 三好先生のご紹介はこちら 【介護人への12章】 ~人権を問う・上 「拘束やむを得ず」半数~ ■ 施設での人権侵害行為  県外の社会福祉士養成校の通信課程で老人福祉論を担当しています。 受講者のほとんどが社会人で、その半数は福祉施設・団体などで実際に勤務している人たちです。 私は、いつまでたってもなくならない施設での高齢者への人権侵害行為の改善を問い掛けたいという思いから、リポート試験に、「虐待・拘束、プライバシー、性的羞恥(しゅうち)心、肖像権、呼称の5つのキーワード解説を行い、高齢者への権利侵害を予防する方法を論じなさい」と課題を出しました。    提出された200人近いリポートのすべてを読み採点を終えたところです。  「拘束」は、安全や事故防止のために行われるのなら仕方がなく、廃止することは難しいという意見が半数以上ありました。 この中には「入所時に、家族から縛ってもかまいませんと申し出るケースもある」とか、「ショートステイの申し込み窓口で、うちは縛ったりしませんから徘徊(はいかい)のある痴ほうはお断りしますと回答している」というものもありました。  「家族が拘束を拒否すると、安全に責任がもてないので申し込みを丁寧に断る」施設も少なくありませんでした。  また、「職員のとっさの判断で、頭を小突いたり、尻をたたいたり、食事や排せつのミスに対して当然のように罰を与えることがある」「指示を出して通じないと本人のせいにして叱(しか)り、怒り、痴ほうがあればさらにエスカレートする」との文章もありました。  職員の善かれと思う行為が不愉快な思いや肉体的苦痛を強いていることはないのでしょうか。 本人のためでも、結果としてしごきやイジメになっているかもしれません。 ■ プライバシーの侵害  「プライバシーの侵害」とは、自分の秘密や私生活の部分を自分の意思に反して知られてしまうことです。 「大部屋での環境や身体介護優先の建物構造ではある程度は仕方ない」という意見がありました。  個室の是非については、高齢者はもともと、集団で雑談などを好むという傾向や個室だと夜が寂しいという意見があり、個人の尊重を考えれば、個室がすべてではないというリポートもありました。  しかし、大部屋の場合には、冷暖房や、薄っぺらなカーテン1枚でオナラやイビキも共有しなければなりません。 消灯後のテレビも同室者から嫌がられると見られません。夜間のホールでのテレビが禁止だと好きな番組は永久に見られないことになります。 ■ さいごに  最近、福祉施設見学の要請も増えていますが、見学を希望する側の動機と施設側の判断だけで、利用者の意思を無視していることはないのでしょうか。  大部屋の出入り口で入退室のあいさつをきちんとしている施設はほとんどありませんし、高齢者の個人情報をおもしろおかしく職員同士でおしゃべりしている風景もなくなりません。 生き地獄と感じている高齢者は多いはずです。 元記事の著者  三好 明夫  ノートルダム女子大学 社会福祉学 教授  https://notredame-db.net/detail.php?id=65 関連記事はこちら 【介護人への12章-1】~少人数で家庭的な雰囲気 ユニットケア~ 【介護人への12章-2】~利用者本位へ課題残る 措置から契約に~ 【介護人への12章-3】~問われる援助者の意識 指示と説明責任~ 【介護人への12章-4】~社会常識とかけ離れる 施設病~ 【介護人への12章-5】~本当に必要な希望理解 信頼関係~ 【続介護人への12章-6】~整容 気持ちも支える工夫を~ 【続介護人への12章-7】~ホームの生活環境 日常性重視し個室化を~ 【続介護人への12章-8】~ケアマネジメント 自己選択への援助 大切~ 【続介護人への12章-9】~社会福祉士 専門性高いが低い認知度~ 【続介護人への12章-10】~援助と指導 高齢者の主体性を尊重~ 【続介護人への12章-11】~福祉の現場 職員救う援助が不可欠~ 【続介護人への12章-12】~施設の評価 専門的な外部機関必要~ 【介護人への12章-13】~排泄 恥ずかしさ思いやって~ 【介護人への12章-14】~食事 生活で1番の楽しみ~ 【介護人への12章-15】~入浴 高齢者の希望優先して~ 【介護人への12章-16】~移動 転倒防止で身体拘束?~ 【介護人への12章-17】~介護福祉士 しっかりした教育必要~ 【介護人への12章-18】~レクリエーション 外出・外食の機会確保を~ 【介護人への12章-19】~コミュニケーション 「共感」レベルの実現を~ 【介護人への12章-20】~リスクマネジメント 本人の希望実現のため~ 【介護人への12章-21】~人権を問う・上 「拘束やむを得ず」半数~ 【介護人への12章-22】~人権を問う・下 対等平等な援助不可欠~ 【介護人への12章-23】~入居者自治会 活発な活動 希望を実現~ 【介護人への12章-24】~終末期の看取り 入院せず施設に居たい~ 介護・看護・保育・福祉の求人検索はこちら
コラム紹介とは こんにちは!ふくみっとの中の人です! 「コラム紹介」とは!私が出会ったコラムの中で、介護職に携わる皆さまにぜひお伝えしたい名コラムを紹介するコーナーです! このコラムは、福祉人材の育成に尽力されているノートルダム女子大学教授の「三好 明夫」先生が、2004年頃に愛媛新聞に寄稿されていた、『介護人への12章』です。 三好先生のご紹介はこちら 【介護人への12章】 ~人権を問う・上 「拘束やむを得ず」半数~ ■ 施設での人権侵害行為  県外の社会福祉士養成校の通信課程で老人福祉論を担当しています。 受講者のほとんどが社会人で、その半数は福祉施設・団体などで実際に勤務している人たちです。 私は、いつまでたってもなくならない施設での高齢者への人権侵害行為の改善を問い掛けたいという思いから、リポート試験に、「虐待・拘束、プライバシー、性的羞恥(しゅうち)心、肖像権、呼称の5つのキーワード解説を行い、高齢者への権利侵害を予防する方法を論じなさい」と課題を出しました。    提出された200人近いリポートのすべてを読み採点を終えたところです。  「拘束」は、安全や事故防止のために行われるのなら仕方がなく、廃止することは難しいという意見が半数以上ありました。 この中には「入所時に、家族から縛ってもかまいませんと申し出るケースもある」とか、「ショートステイの申し込み窓口で、うちは縛ったりしませんから徘徊(はいかい)のある痴ほうはお断りしますと回答している」というものもありました。  「家族が拘束を拒否すると、安全に責任がもてないので申し込みを丁寧に断る」施設も少なくありませんでした。  また、「職員のとっさの判断で、頭を小突いたり、尻をたたいたり、食事や排せつのミスに対して当然のように罰を与えることがある」「指示を出して通じないと本人のせいにして叱(しか)り、怒り、痴ほうがあればさらにエスカレートする」との文章もありました。  職員の善かれと思う行為が不愉快な思いや肉体的苦痛を強いていることはないのでしょうか。 本人のためでも、結果としてしごきやイジメになっているかもしれません。 ■ プライバシーの侵害  「プライバシーの侵害」とは、自分の秘密や私生活の部分を自分の意思に反して知られてしまうことです。 「大部屋での環境や身体介護優先の建物構造ではある程度は仕方ない」という意見がありました。  個室の是非については、高齢者はもともと、集団で雑談などを好むという傾向や個室だと夜が寂しいという意見があり、個人の尊重を考えれば、個室がすべてではないというリポートもありました。  しかし、大部屋の場合には、冷暖房や、薄っぺらなカーテン1枚でオナラやイビキも共有しなければなりません。 消灯後のテレビも同室者から嫌がられると見られません。夜間のホールでのテレビが禁止だと好きな番組は永久に見られないことになります。 ■ さいごに  最近、福祉施設見学の要請も増えていますが、見学を希望する側の動機と施設側の判断だけで、利用者の意思を無視していることはないのでしょうか。  大部屋の出入り口で入退室のあいさつをきちんとしている施設はほとんどありませんし、高齢者の個人情報をおもしろおかしく職員同士でおしゃべりしている風景もなくなりません。 生き地獄と感じている高齢者は多いはずです。 元記事の著者  三好 明夫  ノートルダム女子大学 社会福祉学 教授  https://notredame-db.net/detail.php?id=65 関連記事はこちら 【介護人への12章-1】~少人数で家庭的な雰囲気 ユニットケア~ 【介護人への12章-2】~利用者本位へ課題残る 措置から契約に~ 【介護人への12章-3】~問われる援助者の意識 指示と説明責任~ 【介護人への12章-4】~社会常識とかけ離れる 施設病~ 【介護人への12章-5】~本当に必要な希望理解 信頼関係~ 【続介護人への12章-6】~整容 気持ちも支える工夫を~ 【続介護人への12章-7】~ホームの生活環境 日常性重視し個室化を~ 【続介護人への12章-8】~ケアマネジメント 自己選択への援助 大切~ 【続介護人への12章-9】~社会福祉士 専門性高いが低い認知度~ 【続介護人への12章-10】~援助と指導 高齢者の主体性を尊重~ 【続介護人への12章-11】~福祉の現場 職員救う援助が不可欠~ 【続介護人への12章-12】~施設の評価 専門的な外部機関必要~ 【介護人への12章-13】~排泄 恥ずかしさ思いやって~ 【介護人への12章-14】~食事 生活で1番の楽しみ~ 【介護人への12章-15】~入浴 高齢者の希望優先して~ 【介護人への12章-16】~移動 転倒防止で身体拘束?~ 【介護人への12章-17】~介護福祉士 しっかりした教育必要~ 【介護人への12章-18】~レクリエーション 外出・外食の機会確保を~ 【介護人への12章-19】~コミュニケーション 「共感」レベルの実現を~ 【介護人への12章-20】~リスクマネジメント 本人の希望実現のため~ 【介護人への12章-21】~人権を問う・上 「拘束やむを得ず」半数~ 【介護人への12章-22】~人権を問う・下 対等平等な援助不可欠~ 【介護人への12章-23】~入居者自治会 活発な活動 希望を実現~ 【介護人への12章-24】~終末期の看取り 入院せず施設に居たい~ 介護・看護・保育・福祉の求人検索はこちら
コラム紹介とは こんにちは!ふくみっとの中の人です! 「コラム紹介」とは!私が出会ったコラムの中で、介護職に携わる皆さまにぜひお伝えしたい名コラムを紹介するコーナーです! このコラムは、福祉人材の育成に尽力されているノートルダム女子大学教授の「三好 明夫」先生が、2004年頃に愛媛新聞に寄稿されていた、『介護人への12章』です。 三好先生のご紹介はこちら 【介護人への12章】 ~リスクマネジメント 本人の希望実現のため~ ■ リスクマネジメント  介護保険制度の登場で、介護サービスを契約によって利用することになりました。 お互いの義務と権利の関係が明確となり、高齢者の安全や安心を確保することが不可欠であるという視点から、事故防止策として危機管理対応の必要性が生じました。これがリスクマネジメントです。  事故防止策として高齢者を抑制したり身体拘束してしまうことがあります。 厚労省令の運営基準には「緊急やむを得ない場合を除き、身体拘束を行ってはならない」とありますが、拘束をせずに自由に歩かせていて骨折し、施設の責任となって訴訟でも起こされては困るというのが施設側の言い分です。  事前の安全策ととらえ、これを緊急な場合として拘束されてしまってはたまったものではありません。    また、身動きできない状態となることで寝たきりや痴ほうの進行が速まることは多くの人たちが理解しているはずです。 同運営基準には「懇切丁寧を旨とし、処遇上必要な事項を入所者またはその家族に理解しやすいように説明する」「常に質の評価を行い、その改善を図らなければならない」ともあります。 緊急やむを得ない場合には高齢者とその家族にきちんと説明を行って理解を得るとともに、危機管理のシステムが、あくまでも高齢者のサービスを向上させるためのものかということを、内輪の論理ではなく外部評価によって見定めてもらうことも必要ではないかと思います。 ■本人の希望をどう実現していくのか  ある施設を訪問した時に施設長は自慢げにこう言いました。 「どうですか、皆さん静かに寝ているでしょう。自宅では介護できない重い状態の老人が生活するのですから、歩きまわっていたり外出や園外行事に参加していたらどう思われるか。 専門の介護職員が24時間いるのですからじっとこうしていることが1番安全なんですよ」と。福祉現場は逆行しているのでしょうか。  生活援助者として、リスクが高い高齢者であっても、本人の希望をどう実現していくのかということを忘れてはなりません。  K子さん78歳は、体力が低下して流動食となっていました。 そんな体調の中、K子さんは車で2時間以上離れたふるさとのお墓参りを涙をいっぱいにためて希望したのです。 私たちは主治医の助言を得ながら相談員、看護師、介護職員で送迎を行うことにしました。 道中の緊急時の対応を事前に確認しておくとともに、家族に現地での受け入れを要請しました。  K子さんは亡き両親の墓前で手を合わせながら、これほどの体力が残っているのかと思うほど力強く般若心経を唱えていました。 ■ さいごに  危機管理の先にあるものは、高齢者の満足を高めてサービスの質を向上させ、高齢者自身が必要としているサービスを十分に提供していくという視点と実践が不可欠です。 元記事の著者  三好 明夫  ノートルダム女子大学 社会福祉学 教授  https://notredame-db.net/detail.php?id=65 notredame-db.net/detail.php?id=65 関連記事はこちら 【介護人への12章-1】~少人数で家庭的な雰囲気 ユニットケア~ 【介護人への12章-2】~利用者本位へ課題残る 措置から契約に~ 【介護人への12章-3】~問われる援助者の意識 指示と説明責任~ 【介護人への12章-4】~社会常識とかけ離れる 施設病~ 【介護人への12章-5】~本当に必要な希望理解 信頼関係~ 【続介護人への12章-6】~整容 気持ちも支える工夫を~ 【続介護人への12章-7】~ホームの生活環境 日常性重視し個室化を~ 【続介護人への12章-8】~ケアマネジメント 自己選択への援助 大切~ 【続介護人への12章-9】~社会福祉士 専門性高いが低い認知度~ 【続介護人への12章-10】~援助と指導 高齢者の主体性を尊重~ 【続介護人への12章-11】~福祉の現場 職員救う援助が不可欠~ 【続介護人への12章-12】~施設の評価 専門的な外部機関必要~ 【介護人への12章-13】~排泄 恥ずかしさ思いやって~ 【介護人への12章-14】~食事 生活で1番の楽しみ~ 【介護人への12章-15】~入浴 高齢者の希望優先して~ 【介護人への12章-16】~移動 転倒防止で身体拘束?~ 【介護人への12章-17】~介護福祉士 しっかりした教育必要~ 【介護人への12章-18】~レクリエーション 外出・外食の機会確保を~ 【介護人への12章-19】~コミュニケーション 「共感」レベルの実現を~ 【介護人への12章-20】~リスクマネジメント 本人の希望実現のため~ 【介護人への12章-21】~人権を問う・上 「拘束やむを得ず」半数~ 【介護人への12章-22】~人権を問う・下 対等平等な援助不可欠~ 【介護人への12章-23】~入居者自治会 活発な活動 希望を実現~ 【介護人への12章-24】~終末期の看取り 入院せず施設に居たい~ 介護・看護・保育・福祉の求人検索はこちら
コラム紹介とは こんにちは!ふくみっとの中の人です! 「コラム紹介」とは!私が出会ったコラムの中で、介護職に携わる皆さまにぜひお伝えしたい名コラムを紹介するコーナーです! このコラムは、福祉人材の育成に尽力されているノートルダム女子大学教授の「三好 明夫」先生が、2004年頃に愛媛新聞に寄稿されていた、『介護人への12章』です。 三好先生のご紹介はこちら 【介護人への12章】 ~リスクマネジメント 本人の希望実現のため~ ■ リスクマネジメント  介護保険制度の登場で、介護サービスを契約によって利用することになりました。 お互いの義務と権利の関係が明確となり、高齢者の安全や安心を確保することが不可欠であるという視点から、事故防止策として危機管理対応の必要性が生じました。これがリスクマネジメントです。  事故防止策として高齢者を抑制したり身体拘束してしまうことがあります。 厚労省令の運営基準には「緊急やむを得ない場合を除き、身体拘束を行ってはならない」とありますが、拘束をせずに自由に歩かせていて骨折し、施設の責任となって訴訟でも起こされては困るというのが施設側の言い分です。  事前の安全策ととらえ、これを緊急な場合として拘束されてしまってはたまったものではありません。    また、身動きできない状態となることで寝たきりや痴ほうの進行が速まることは多くの人たちが理解しているはずです。 同運営基準には「懇切丁寧を旨とし、処遇上必要な事項を入所者またはその家族に理解しやすいように説明する」「常に質の評価を行い、その改善を図らなければならない」ともあります。 緊急やむを得ない場合には高齢者とその家族にきちんと説明を行って理解を得るとともに、危機管理のシステムが、あくまでも高齢者のサービスを向上させるためのものかということを、内輪の論理ではなく外部評価によって見定めてもらうことも必要ではないかと思います。 ■本人の希望をどう実現していくのか  ある施設を訪問した時に施設長は自慢げにこう言いました。 「どうですか、皆さん静かに寝ているでしょう。自宅では介護できない重い状態の老人が生活するのですから、歩きまわっていたり外出や園外行事に参加していたらどう思われるか。 専門の介護職員が24時間いるのですからじっとこうしていることが1番安全なんですよ」と。福祉現場は逆行しているのでしょうか。  生活援助者として、リスクが高い高齢者であっても、本人の希望をどう実現していくのかということを忘れてはなりません。  K子さん78歳は、体力が低下して流動食となっていました。 そんな体調の中、K子さんは車で2時間以上離れたふるさとのお墓参りを涙をいっぱいにためて希望したのです。 私たちは主治医の助言を得ながら相談員、看護師、介護職員で送迎を行うことにしました。 道中の緊急時の対応を事前に確認しておくとともに、家族に現地での受け入れを要請しました。  K子さんは亡き両親の墓前で手を合わせながら、これほどの体力が残っているのかと思うほど力強く般若心経を唱えていました。 ■ さいごに  危機管理の先にあるものは、高齢者の満足を高めてサービスの質を向上させ、高齢者自身が必要としているサービスを十分に提供していくという視点と実践が不可欠です。 元記事の著者  三好 明夫  ノートルダム女子大学 社会福祉学 教授  https://notredame-db.net/detail.php?id=65 notredame-db.net/detail.php?id=65 関連記事はこちら 【介護人への12章-1】~少人数で家庭的な雰囲気 ユニットケア~ 【介護人への12章-2】~利用者本位へ課題残る 措置から契約に~ 【介護人への12章-3】~問われる援助者の意識 指示と説明責任~ 【介護人への12章-4】~社会常識とかけ離れる 施設病~ 【介護人への12章-5】~本当に必要な希望理解 信頼関係~ 【続介護人への12章-6】~整容 気持ちも支える工夫を~ 【続介護人への12章-7】~ホームの生活環境 日常性重視し個室化を~ 【続介護人への12章-8】~ケアマネジメント 自己選択への援助 大切~ 【続介護人への12章-9】~社会福祉士 専門性高いが低い認知度~ 【続介護人への12章-10】~援助と指導 高齢者の主体性を尊重~ 【続介護人への12章-11】~福祉の現場 職員救う援助が不可欠~ 【続介護人への12章-12】~施設の評価 専門的な外部機関必要~ 【介護人への12章-13】~排泄 恥ずかしさ思いやって~ 【介護人への12章-14】~食事 生活で1番の楽しみ~ 【介護人への12章-15】~入浴 高齢者の希望優先して~ 【介護人への12章-16】~移動 転倒防止で身体拘束?~ 【介護人への12章-17】~介護福祉士 しっかりした教育必要~ 【介護人への12章-18】~レクリエーション 外出・外食の機会確保を~ 【介護人への12章-19】~コミュニケーション 「共感」レベルの実現を~ 【介護人への12章-20】~リスクマネジメント 本人の希望実現のため~ 【介護人への12章-21】~人権を問う・上 「拘束やむを得ず」半数~ 【介護人への12章-22】~人権を問う・下 対等平等な援助不可欠~ 【介護人への12章-23】~入居者自治会 活発な活動 希望を実現~ 【介護人への12章-24】~終末期の看取り 入院せず施設に居たい~ 介護・看護・保育・福祉の求人検索はこちら
コラム紹介とは こんにちは!ふくみっとの中の人です! 「コラム紹介」とは!私が出会ったコラムの中で、介護職に携わる皆さまにぜひお伝えしたい名コラムを紹介するコーナーです! このコラムは、福祉人材の育成に尽力されているノートルダム女子大学教授の「三好 明夫」先生が、2004年頃に愛媛新聞に寄稿されていた、『介護人への12章』です。 三好先生のご紹介はこちら 【介護人への12章】 ~コミュニケーション 「共感」レベルの実現を~ ■ 援助者に必要な姿勢  ある特別養護老人ホームの高齢者たちの声です。 「部屋の窓側が暑くてたまらなかったので職員に話したら涼しいところがあるから入れてあげよかと言われた。そこは霊安室だった」 「食事の時、魚が大好物だと言ったら職員にニャオーンと言って食べろと言われた」 「体重が少し増えたことがうれしくて職員に話したら、ここはえさがいいからねと言われた」 「職員の言葉が乱暴で食べなさいとか行きなさいとか入りなさいと命令されて怖い」 「言いたいことはたくさんあるがお世話にならないと生きていけないので何も言えない」ーー。  私たちが日常頻繁に使用しているコミュニケーションは、社会福祉援助の場面では「出会いの当初から交流が促進されて相互の関係が継続されていくための技術」として「コミュニケーション・ワーク」とも言われています。  援助者は、要援護者の生活を支えていくための役割として、自分の心を開き相手を受け入れていくという姿勢が不可欠だからです。 ■ コミュニケーションの方法  介護実践において、「指導」ではなく「援助」、「同情」ではなく「共感」が必要と言われていますが、実際にはまだまだ「指導」や「同情」レベルの介護がまかり通っています。 「同情」は強者と弱者の関係を肯定してしまいますし、強者からの一方的なコミュニケーションとなってしまい、最後はお節介や余計なお世話ともなってしまいます。    一方、「共感」は強者弱者はなく対等平等ですから相互に頻繁なコミュニケーションが存在し、要援護者の希望を中心とした利益の実現に向かうのです。 その具体的技術の1つにトータルコミュニケーションが挙げられます。これは、言語、準言語、非言語を総合的に使っていくべきだとするものです。 丁寧な言葉を発しているのにうまく伝わらない場合は、言葉の強弱や速度、抑揚などの準言語と、表情や動作などの非言語によって適切に援助していくことが求められています。 3つのバランスがとれたコミュニケーションがなければ相手に威圧感や不安感を与えてしまうことになります。    もう1つはアクティブ・リスニング(傾聴)です。 援助者はややもすると要援護者にどのようにすれば有効にメッセージが伝わるのかということに集中してしまい、要援護者からの真のメッセージをどのように受け止めるのかという視点が弱いように思います。 伝えることだけがコミュニケーションではありません。「聴き役」に徹することで、相手は心を開き、ニーズも表出されるでしょう。 ■ さいごに  思い込みや一方的な強者の姿勢が、高齢者の要求や希望の実現を押し殺してしまってはないでしょうか。 コミュニケーションは、高齢者と心温まる会話や接触を行うための基本点です。   援助者が専門技術として意識し、 しっかり身に付ければ、先のような高齢者の声は出てこないはずです。 元記事の著者  三好 明夫  ノートルダム女子大学 社会福祉学 教授  https://notredame-db.net/detail.php?id=65 notredame-db.net/detail.php?id=65 関連記事はこちら 【介護人への12章-1】~少人数で家庭的な雰囲気 ユニットケア~ 【介護人への12章-2】~利用者本位へ課題残る 措置から契約に~ 【介護人への12章-3】~問われる援助者の意識 指示と説明責任~ 【介護人への12章-4】~社会常識とかけ離れる 施設病~ 【介護人への12章-5】~本当に必要な希望理解 信頼関係~ 【続介護人への12章-6】~整容 気持ちも支える工夫を~ 【続介護人への12章-7】~ホームの生活環境 日常性重視し個室化を~ 【続介護人への12章-8】~ケアマネジメント 自己選択への援助 大切~ 【続介護人への12章-9】~社会福祉士 専門性高いが低い認知度~ 【続介護人への12章-10】~援助と指導 高齢者の主体性を尊重~ 【続介護人への12章-11】~福祉の現場 職員救う援助が不可欠~ 【続介護人への12章-12】~施設の評価 専門的な外部機関必要~ 【介護人への12章-13】~排泄 恥ずかしさ思いやって~ 【介護人への12章-14】~食事 生活で1番の楽しみ~ 【介護人への12章-15】~入浴 高齢者の希望優先して~ 【介護人への12章-16】~移動 転倒防止で身体拘束?~ 【介護人への12章-17】~介護福祉士 しっかりした教育必要~ 【介護人への12章-18】~レクリエーション 外出・外食の機会確保を~ 【介護人への12章-19】~コミュニケーション 「共感」レベルの実現を~ 【介護人への12章-20】~リスクマネジメント 本人の希望実現のため~ 【介護人への12章-21】~人権を問う・上 「拘束やむを得ず」半数~ 【介護人への12章-22】~人権を問う・下 対等平等な援助不可欠~ 【介護人への12章-23】~入居者自治会 活発な活動 希望を実現~ 【介護人への12章-24】~終末期の看取り 入院せず施設に居たい~ 介護・看護・保育・福祉の求人検索はこちら
コラム紹介とは こんにちは!ふくみっとの中の人です! 「コラム紹介」とは!私が出会ったコラムの中で、介護職に携わる皆さまにぜひお伝えしたい名コラムを紹介するコーナーです! このコラムは、福祉人材の育成に尽力されているノートルダム女子大学教授の「三好 明夫」先生が、2004年頃に愛媛新聞に寄稿されていた、『介護人への12章』です。 三好先生のご紹介はこちら 【介護人への12章】 ~コミュニケーション 「共感」レベルの実現を~ ■ 援助者に必要な姿勢  ある特別養護老人ホームの高齢者たちの声です。 「部屋の窓側が暑くてたまらなかったので職員に話したら涼しいところがあるから入れてあげよかと言われた。そこは霊安室だった」 「食事の時、魚が大好物だと言ったら職員にニャオーンと言って食べろと言われた」 「体重が少し増えたことがうれしくて職員に話したら、ここはえさがいいからねと言われた」 「職員の言葉が乱暴で食べなさいとか行きなさいとか入りなさいと命令されて怖い」 「言いたいことはたくさんあるがお世話にならないと生きていけないので何も言えない」ーー。  私たちが日常頻繁に使用しているコミュニケーションは、社会福祉援助の場面では「出会いの当初から交流が促進されて相互の関係が継続されていくための技術」として「コミュニケーション・ワーク」とも言われています。  援助者は、要援護者の生活を支えていくための役割として、自分の心を開き相手を受け入れていくという姿勢が不可欠だからです。 ■ コミュニケーションの方法  介護実践において、「指導」ではなく「援助」、「同情」ではなく「共感」が必要と言われていますが、実際にはまだまだ「指導」や「同情」レベルの介護がまかり通っています。 「同情」は強者と弱者の関係を肯定してしまいますし、強者からの一方的なコミュニケーションとなってしまい、最後はお節介や余計なお世話ともなってしまいます。    一方、「共感」は強者弱者はなく対等平等ですから相互に頻繁なコミュニケーションが存在し、要援護者の希望を中心とした利益の実現に向かうのです。 その具体的技術の1つにトータルコミュニケーションが挙げられます。これは、言語、準言語、非言語を総合的に使っていくべきだとするものです。 丁寧な言葉を発しているのにうまく伝わらない場合は、言葉の強弱や速度、抑揚などの準言語と、表情や動作などの非言語によって適切に援助していくことが求められています。 3つのバランスがとれたコミュニケーションがなければ相手に威圧感や不安感を与えてしまうことになります。    もう1つはアクティブ・リスニング(傾聴)です。 援助者はややもすると要援護者にどのようにすれば有効にメッセージが伝わるのかということに集中してしまい、要援護者からの真のメッセージをどのように受け止めるのかという視点が弱いように思います。 伝えることだけがコミュニケーションではありません。「聴き役」に徹することで、相手は心を開き、ニーズも表出されるでしょう。 ■ さいごに  思い込みや一方的な強者の姿勢が、高齢者の要求や希望の実現を押し殺してしまってはないでしょうか。 コミュニケーションは、高齢者と心温まる会話や接触を行うための基本点です。   援助者が専門技術として意識し、 しっかり身に付ければ、先のような高齢者の声は出てこないはずです。 元記事の著者  三好 明夫  ノートルダム女子大学 社会福祉学 教授  https://notredame-db.net/detail.php?id=65 notredame-db.net/detail.php?id=65 関連記事はこちら 【介護人への12章-1】~少人数で家庭的な雰囲気 ユニットケア~ 【介護人への12章-2】~利用者本位へ課題残る 措置から契約に~ 【介護人への12章-3】~問われる援助者の意識 指示と説明責任~ 【介護人への12章-4】~社会常識とかけ離れる 施設病~ 【介護人への12章-5】~本当に必要な希望理解 信頼関係~ 【続介護人への12章-6】~整容 気持ちも支える工夫を~ 【続介護人への12章-7】~ホームの生活環境 日常性重視し個室化を~ 【続介護人への12章-8】~ケアマネジメント 自己選択への援助 大切~ 【続介護人への12章-9】~社会福祉士 専門性高いが低い認知度~ 【続介護人への12章-10】~援助と指導 高齢者の主体性を尊重~ 【続介護人への12章-11】~福祉の現場 職員救う援助が不可欠~ 【続介護人への12章-12】~施設の評価 専門的な外部機関必要~ 【介護人への12章-13】~排泄 恥ずかしさ思いやって~ 【介護人への12章-14】~食事 生活で1番の楽しみ~ 【介護人への12章-15】~入浴 高齢者の希望優先して~ 【介護人への12章-16】~移動 転倒防止で身体拘束?~ 【介護人への12章-17】~介護福祉士 しっかりした教育必要~ 【介護人への12章-18】~レクリエーション 外出・外食の機会確保を~ 【介護人への12章-19】~コミュニケーション 「共感」レベルの実現を~ 【介護人への12章-20】~リスクマネジメント 本人の希望実現のため~ 【介護人への12章-21】~人権を問う・上 「拘束やむを得ず」半数~ 【介護人への12章-22】~人権を問う・下 対等平等な援助不可欠~ 【介護人への12章-23】~入居者自治会 活発な活動 希望を実現~ 【介護人への12章-24】~終末期の看取り 入院せず施設に居たい~ 介護・看護・保育・福祉の求人検索はこちら
コラム紹介とは こんにちは!ふくみっとの中の人です! 「コラム紹介」とは!私が出会ったコラムの中で、介護職に携わる皆さまにぜひお伝えしたい名コラムを紹介するコーナーです! このコラムは、福祉人材の育成に尽力されているノートルダム女子大学教授の「三好 明夫」先生が、2004年頃に愛媛新聞に寄稿されていた、『介護人への12章』です。 三好先生のご紹介はこちら 【介護人への12章】 ~レクリエーション 外出・外食の機会確保を~ ■ レクリエーションの意義  「レクリエーション」ーー日本語に言い換えると「余暇活動」と言われています。 余暇という言葉が持つ意味から「余裕やゆとりのある人たちだけの特別な遊び」と受けとめられてしまっているかもしれません。    学校教育に中にも登場したレクリエーションは、ダンス、ソング、ゲームに代表されるように「明るく、元気に楽しく、そして仲間づくりを」というイメージで定着していきましたが、当時、その輪の中に障害者はいませんでした。    高齢者福祉施設でもさまざまなレクリエーションが展開されてきました。 低いネットで、やわらかく大きめのゴム風船を使う「風船バレーボール」は、車いすの高齢者でもできるということで全国的にブームになりました。 しかし、反応や笑顔のない高齢者までコートの中に入れられて「これこそが全員で楽しくできるレクリエーションだ」というふうにされていました。  この延長線で、ゲーム性を取り入れたものがさまざまに登場していきますが、あるデイサービス施設で「どれも子どもだましだ」と語っていた高齢者の言葉が忘れられません。 子どもだましなゲームをすべて否定するつもりはありませんが、これらを嫌う人たちにはどのような別メニューが用意されているのでしょうか。  レクリエーションを「生活での快適」と言った人がいましたが、こう考えれば素直にあるべき方向が見えてくるのではないでしょうか。 レクリエーションは少数の職員で多数の高齢者を一度に遊ばせるといったたぐいのものだけではないはずです。 ■ 高齢者の希望を実現  私が勤務していた施設では高齢者の希望を一つひとつ実現していきました。 と言っても、それは無理難題のものではなく当たり前のものばかりでした。 真夏の暑いときにはビアガーデンや居酒屋に出かけて乾杯! 温泉に出かけての入浴! 海水浴では潮風に思い出をよみがえらせてスイカ割り! 一泊旅行は愛媛を離れて高知、香川、徳島へ! デパートショッピングやお寺参り、チラシで気に入った飲食店での外食もありました。  ところが介護保険が導入されて外出や外食は激減してきました。 自己負担の必要やあまりの忙しさで職員の手が回らなくなったからです。 介護保険になって施設生活の自由度や満足度が低下したとしたら一大事です。   ■ さいごに  4月から介護保険の厚生労働省令の基準が改正されました。 第15条第4項には「入所者の生活を施設内で完結させてしまうことのないよう、入所者の希望や心身の状況を踏まえながら、買い物や外食、図書館や公民館などの公共施設の利用、地域の行事への参加、友人宅への訪問、散歩など、入所者に多様な外出の機会を確保するように努めなければならない」と明記されています。   日常生活においていかに満足できるか、これこそがレクリエーションではないでしょうか。 元記事の著者  三好 明夫  ノートルダム女子大学 社会福祉学 教授  https://notredame-db.net/detail.php?id=65 notredame-db.net/detail.php?id=65 関連記事はこちら 【介護人への12章-1】~少人数で家庭的な雰囲気 ユニットケア~ 【介護人への12章-2】~利用者本位へ課題残る 措置から契約に~ 【介護人への12章-3】~問われる援助者の意識 指示と説明責任~ 【介護人への12章-4】~社会常識とかけ離れる 施設病~ 【介護人への12章-5】~本当に必要な希望理解 信頼関係~ 【続介護人への12章-6】~整容 気持ちも支える工夫を~ 【続介護人への12章-7】~ホームの生活環境 日常性重視し個室化を~ 【続介護人への12章-8】~ケアマネジメント 自己選択への援助 大切~ 【続介護人への12章-9】~社会福祉士 専門性高いが低い認知度~ 【続介護人への12章-10】~援助と指導 高齢者の主体性を尊重~ 【続介護人への12章-11】~福祉の現場 職員救う援助が不可欠~ 【続介護人への12章-12】~施設の評価 専門的な外部機関必要~ 【介護人への12章-13】~排泄 恥ずかしさ思いやって~ 【介護人への12章-14】~食事 生活で1番の楽しみ~ 【介護人への12章-15】~入浴 高齢者の希望優先して~ 【介護人への12章-16】~移動 転倒防止で身体拘束?~ 【介護人への12章-17】~介護福祉士 しっかりした教育必要~ 【介護人への12章-18】~レクリエーション 外出・外食の機会確保を~ 【介護人への12章-19】~コミュニケーション 「共感」レベルの実現を~ 【介護人への12章-20】~リスクマネジメント 本人の希望実現のため~ 【介護人への12章-21】~人権を問う・上 「拘束やむを得ず」半数~ 【介護人への12章-22】~人権を問う・下 対等平等な援助不可欠~ 【介護人への12章-23】~入居者自治会 活発な活動 希望を実現~ 【介護人への12章-24】~終末期の看取り 入院せず施設に居たい~ 介護・看護・保育・福祉の求人検索はこちら
コラム紹介とは こんにちは!ふくみっとの中の人です! 「コラム紹介」とは!私が出会ったコラムの中で、介護職に携わる皆さまにぜひお伝えしたい名コラムを紹介するコーナーです! このコラムは、福祉人材の育成に尽力されているノートルダム女子大学教授の「三好 明夫」先生が、2004年頃に愛媛新聞に寄稿されていた、『介護人への12章』です。 三好先生のご紹介はこちら 【介護人への12章】 ~レクリエーション 外出・外食の機会確保を~ ■ レクリエーションの意義  「レクリエーション」ーー日本語に言い換えると「余暇活動」と言われています。 余暇という言葉が持つ意味から「余裕やゆとりのある人たちだけの特別な遊び」と受けとめられてしまっているかもしれません。    学校教育に中にも登場したレクリエーションは、ダンス、ソング、ゲームに代表されるように「明るく、元気に楽しく、そして仲間づくりを」というイメージで定着していきましたが、当時、その輪の中に障害者はいませんでした。    高齢者福祉施設でもさまざまなレクリエーションが展開されてきました。 低いネットで、やわらかく大きめのゴム風船を使う「風船バレーボール」は、車いすの高齢者でもできるということで全国的にブームになりました。 しかし、反応や笑顔のない高齢者までコートの中に入れられて「これこそが全員で楽しくできるレクリエーションだ」というふうにされていました。  この延長線で、ゲーム性を取り入れたものがさまざまに登場していきますが、あるデイサービス施設で「どれも子どもだましだ」と語っていた高齢者の言葉が忘れられません。 子どもだましなゲームをすべて否定するつもりはありませんが、これらを嫌う人たちにはどのような別メニューが用意されているのでしょうか。  レクリエーションを「生活での快適」と言った人がいましたが、こう考えれば素直にあるべき方向が見えてくるのではないでしょうか。 レクリエーションは少数の職員で多数の高齢者を一度に遊ばせるといったたぐいのものだけではないはずです。 ■ 高齢者の希望を実現  私が勤務していた施設では高齢者の希望を一つひとつ実現していきました。 と言っても、それは無理難題のものではなく当たり前のものばかりでした。 真夏の暑いときにはビアガーデンや居酒屋に出かけて乾杯! 温泉に出かけての入浴! 海水浴では潮風に思い出をよみがえらせてスイカ割り! 一泊旅行は愛媛を離れて高知、香川、徳島へ! デパートショッピングやお寺参り、チラシで気に入った飲食店での外食もありました。  ところが介護保険が導入されて外出や外食は激減してきました。 自己負担の必要やあまりの忙しさで職員の手が回らなくなったからです。 介護保険になって施設生活の自由度や満足度が低下したとしたら一大事です。   ■ さいごに  4月から介護保険の厚生労働省令の基準が改正されました。 第15条第4項には「入所者の生活を施設内で完結させてしまうことのないよう、入所者の希望や心身の状況を踏まえながら、買い物や外食、図書館や公民館などの公共施設の利用、地域の行事への参加、友人宅への訪問、散歩など、入所者に多様な外出の機会を確保するように努めなければならない」と明記されています。   日常生活においていかに満足できるか、これこそがレクリエーションではないでしょうか。 元記事の著者  三好 明夫  ノートルダム女子大学 社会福祉学 教授  https://notredame-db.net/detail.php?id=65 notredame-db.net/detail.php?id=65 関連記事はこちら 【介護人への12章-1】~少人数で家庭的な雰囲気 ユニットケア~ 【介護人への12章-2】~利用者本位へ課題残る 措置から契約に~ 【介護人への12章-3】~問われる援助者の意識 指示と説明責任~ 【介護人への12章-4】~社会常識とかけ離れる 施設病~ 【介護人への12章-5】~本当に必要な希望理解 信頼関係~ 【続介護人への12章-6】~整容 気持ちも支える工夫を~ 【続介護人への12章-7】~ホームの生活環境 日常性重視し個室化を~ 【続介護人への12章-8】~ケアマネジメント 自己選択への援助 大切~ 【続介護人への12章-9】~社会福祉士 専門性高いが低い認知度~ 【続介護人への12章-10】~援助と指導 高齢者の主体性を尊重~ 【続介護人への12章-11】~福祉の現場 職員救う援助が不可欠~ 【続介護人への12章-12】~施設の評価 専門的な外部機関必要~ 【介護人への12章-13】~排泄 恥ずかしさ思いやって~ 【介護人への12章-14】~食事 生活で1番の楽しみ~ 【介護人への12章-15】~入浴 高齢者の希望優先して~ 【介護人への12章-16】~移動 転倒防止で身体拘束?~ 【介護人への12章-17】~介護福祉士 しっかりした教育必要~ 【介護人への12章-18】~レクリエーション 外出・外食の機会確保を~ 【介護人への12章-19】~コミュニケーション 「共感」レベルの実現を~ 【介護人への12章-20】~リスクマネジメント 本人の希望実現のため~ 【介護人への12章-21】~人権を問う・上 「拘束やむを得ず」半数~ 【介護人への12章-22】~人権を問う・下 対等平等な援助不可欠~ 【介護人への12章-23】~入居者自治会 活発な活動 希望を実現~ 【介護人への12章-24】~終末期の看取り 入院せず施設に居たい~ 介護・看護・保育・福祉の求人検索はこちら
コラム紹介とは こんにちは!ふくみっとの中の人です! 「コラム紹介」とは!私が出会ったコラムの中で、介護職に携わる皆さまにぜひお伝えしたい名コラムを紹介するコーナーです! このコラムは、福祉人材の育成に尽力されているノートルダム女子大学教授の「三好 明夫」先生が、2004年頃に愛媛新聞に寄稿されていた、『介護人への12章』です。 三好先生のご紹介はこちら 【介護人への12章】 ~移動 転倒防止で身体拘束?~ ■指摘による施設側の萎縮  大阪市内のある特別養護老人ホームの報告では1年間に45件の介護事故がありました。 事故の種類は、転倒34件、打撲・腫れ8件、誤飲1件、施設外抜け出し1件、水漏れ1件で、転倒が全体の75%を占めています。 転倒事故の内訳は「歩行能力衰え・体調不良」が17件、「車いすの移乗・移動・ずり落ち」12件、「ワックスがけ」2件、「介護ミス」2件、「ベッドからの転倒」1件となっており、歩行中や車いす操作中の事故が多発しているようでした。  安全であるはずの施設で転倒により骨折し、寝たきりになってしまっては大問題です。 ワックスがけ後の対応や介護ミスなど、施設側に十分な事故防止策があれば避けられたのではないかと思われる事故もあります。  ですが、こうした指摘により、施設側が必要以上に萎縮してしまっていることがあります。  ある施設では、事故の多い施設という風評には耐えられないと、事故防止、安全確保を急ぐあまり、居室への閉じ込めや車いすでの抑制、ベッド柵(さく)による身体的拘束を続けていました。 しかし、これでは高齢者の人権はどうなってしまうのでしょうか。  車いすの高齢者の胴に巻くベルトは安全ベルトと言われますが、包装紙には「抑制ベルト」と書かれています。手首や足首用の小型ベルトも登場しています。  安全ベルトをゼロにしたと豪語する施設を訪問すると、車いすの高齢者を食事用テーブルに押し込んでいました。確かにベルトはしていませんが、体はテーブルに挟まれていて動けませんから、やはり拘束ではないかと思いました。 ■ 歩きたい一心の行動  介護保険の運営基準に「緊急やむを得ない場合を除き、身体拘束を行ってはならない」という一文がありますが、「緊急やむを得ない場合」をどのように判断して高齢者や家族に理解や同意を求めていくのか、十分に検討されなければなりません。  病院で安静が必要だったS子さんは退院後、床ずれ予防のため車いすでの生活になりました。 歩行が不安定だったにもかかわらず車いすから離れて歩こうとするのでベルトを着用してもらいました。 それでもS子さんは歩こうとして車いすを亀の甲羅のように背負い、足を踏み出していたことがありました。 歩きたい一心の行動だったのでしょう。 「寝たきり」を防ぐとして「座らせきり」にさせてしまっていたことを私たちに実力行使で知らせようとしたのかもしれません。  S子さんにはその後、居室内を畳に改良した部屋に移ってもらい自由に歩けるようにしました。廊下やホールに出るときは職員がマンツーマンで付き添いました。 ■ さいごに  事故をゼロにするのは難しいかもしれませんが、人権尊重と身体拘束の禁止という価値判断を施設職員で共有し実践していくことが求められています。 元記事の著者  三好 明夫  ノートルダム女子大学 社会福祉学 教授  https://notredame-db.net/detail.php?id=65 notredame-db.net/detail.php?id=65 関連記事はこちら 【介護人への12章-1】~少人数で家庭的な雰囲気 ユニットケア~ 【介護人への12章-2】~利用者本位へ課題残る 措置から契約に~ 【介護人への12章-3】~問われる援助者の意識 指示と説明責任~ 【介護人への12章-4】~社会常識とかけ離れる 施設病~ 【介護人への12章-5】~本当に必要な希望理解 信頼関係~ 【続介護人への12章-6】~整容 気持ちも支える工夫を~ 【続介護人への12章-7】~ホームの生活環境 日常性重視し個室化を~ 【続介護人への12章-8】~ケアマネジメント 自己選択への援助 大切~ 【続介護人への12章-9】~社会福祉士 専門性高いが低い認知度~ 【続介護人への12章-10】~援助と指導 高齢者の主体性を尊重~ 【続介護人への12章-11】~福祉の現場 職員救う援助が不可欠~ 【続介護人への12章-12】~施設の評価 専門的な外部機関必要~ 【介護人への12章-13】~排泄 恥ずかしさ思いやって~ 【介護人への12章-14】~食事 生活で1番の楽しみ~ 【介護人への12章-15】~入浴 高齢者の希望優先して~ 【介護人への12章-16】~移動 転倒防止で身体拘束?~ 【介護人への12章-17】~介護福祉士 しっかりした教育必要~ 【介護人への12章-18】~レクリエーション 外出・外食の機会確保を~ 【介護人への12章-19】~コミュニケーション 「共感」レベルの実現を~ 【介護人への12章-20】~リスクマネジメント 本人の希望実現のため~ 【介護人への12章-21】~人権を問う・上 「拘束やむを得ず」半数~ 【介護人への12章-22】~人権を問う・下 対等平等な援助不可欠~ 【介護人への12章-23】~入居者自治会 活発な活動 希望を実現~ 【介護人への12章-24】~終末期の看取り 入院せず施設に居たい~ 介護・看護・保育・福祉の求人検索はこちら
コラム紹介とは こんにちは!ふくみっとの中の人です! 「コラム紹介」とは!私が出会ったコラムの中で、介護職に携わる皆さまにぜひお伝えしたい名コラムを紹介するコーナーです! このコラムは、福祉人材の育成に尽力されているノートルダム女子大学教授の「三好 明夫」先生が、2004年頃に愛媛新聞に寄稿されていた、『介護人への12章』です。 三好先生のご紹介はこちら 【介護人への12章】 ~移動 転倒防止で身体拘束?~ ■指摘による施設側の萎縮  大阪市内のある特別養護老人ホームの報告では1年間に45件の介護事故がありました。 事故の種類は、転倒34件、打撲・腫れ8件、誤飲1件、施設外抜け出し1件、水漏れ1件で、転倒が全体の75%を占めています。 転倒事故の内訳は「歩行能力衰え・体調不良」が17件、「車いすの移乗・移動・ずり落ち」12件、「ワックスがけ」2件、「介護ミス」2件、「ベッドからの転倒」1件となっており、歩行中や車いす操作中の事故が多発しているようでした。  安全であるはずの施設で転倒により骨折し、寝たきりになってしまっては大問題です。 ワックスがけ後の対応や介護ミスなど、施設側に十分な事故防止策があれば避けられたのではないかと思われる事故もあります。  ですが、こうした指摘により、施設側が必要以上に萎縮してしまっていることがあります。  ある施設では、事故の多い施設という風評には耐えられないと、事故防止、安全確保を急ぐあまり、居室への閉じ込めや車いすでの抑制、ベッド柵(さく)による身体的拘束を続けていました。 しかし、これでは高齢者の人権はどうなってしまうのでしょうか。  車いすの高齢者の胴に巻くベルトは安全ベルトと言われますが、包装紙には「抑制ベルト」と書かれています。手首や足首用の小型ベルトも登場しています。  安全ベルトをゼロにしたと豪語する施設を訪問すると、車いすの高齢者を食事用テーブルに押し込んでいました。確かにベルトはしていませんが、体はテーブルに挟まれていて動けませんから、やはり拘束ではないかと思いました。 ■ 歩きたい一心の行動  介護保険の運営基準に「緊急やむを得ない場合を除き、身体拘束を行ってはならない」という一文がありますが、「緊急やむを得ない場合」をどのように判断して高齢者や家族に理解や同意を求めていくのか、十分に検討されなければなりません。  病院で安静が必要だったS子さんは退院後、床ずれ予防のため車いすでの生活になりました。 歩行が不安定だったにもかかわらず車いすから離れて歩こうとするのでベルトを着用してもらいました。 それでもS子さんは歩こうとして車いすを亀の甲羅のように背負い、足を踏み出していたことがありました。 歩きたい一心の行動だったのでしょう。 「寝たきり」を防ぐとして「座らせきり」にさせてしまっていたことを私たちに実力行使で知らせようとしたのかもしれません。  S子さんにはその後、居室内を畳に改良した部屋に移ってもらい自由に歩けるようにしました。廊下やホールに出るときは職員がマンツーマンで付き添いました。 ■ さいごに  事故をゼロにするのは難しいかもしれませんが、人権尊重と身体拘束の禁止という価値判断を施設職員で共有し実践していくことが求められています。 元記事の著者  三好 明夫  ノートルダム女子大学 社会福祉学 教授  https://notredame-db.net/detail.php?id=65 notredame-db.net/detail.php?id=65 関連記事はこちら 【介護人への12章-1】~少人数で家庭的な雰囲気 ユニットケア~ 【介護人への12章-2】~利用者本位へ課題残る 措置から契約に~ 【介護人への12章-3】~問われる援助者の意識 指示と説明責任~ 【介護人への12章-4】~社会常識とかけ離れる 施設病~ 【介護人への12章-5】~本当に必要な希望理解 信頼関係~ 【続介護人への12章-6】~整容 気持ちも支える工夫を~ 【続介護人への12章-7】~ホームの生活環境 日常性重視し個室化を~ 【続介護人への12章-8】~ケアマネジメント 自己選択への援助 大切~ 【続介護人への12章-9】~社会福祉士 専門性高いが低い認知度~ 【続介護人への12章-10】~援助と指導 高齢者の主体性を尊重~ 【続介護人への12章-11】~福祉の現場 職員救う援助が不可欠~ 【続介護人への12章-12】~施設の評価 専門的な外部機関必要~ 【介護人への12章-13】~排泄 恥ずかしさ思いやって~ 【介護人への12章-14】~食事 生活で1番の楽しみ~ 【介護人への12章-15】~入浴 高齢者の希望優先して~ 【介護人への12章-16】~移動 転倒防止で身体拘束?~ 【介護人への12章-17】~介護福祉士 しっかりした教育必要~ 【介護人への12章-18】~レクリエーション 外出・外食の機会確保を~ 【介護人への12章-19】~コミュニケーション 「共感」レベルの実現を~ 【介護人への12章-20】~リスクマネジメント 本人の希望実現のため~ 【介護人への12章-21】~人権を問う・上 「拘束やむを得ず」半数~ 【介護人への12章-22】~人権を問う・下 対等平等な援助不可欠~ 【介護人への12章-23】~入居者自治会 活発な活動 希望を実現~ 【介護人への12章-24】~終末期の看取り 入院せず施設に居たい~ 介護・看護・保育・福祉の求人検索はこちら
コラム紹介とは こんにちは!ふくみっとの中の人です! 「コラム紹介」とは!私が出会ったコラムの中で、介護職に携わる皆さまにぜひお伝えしたい名コラムを紹介するコーナーです! このコラムは、福祉人材の育成に尽力されているノートルダム女子大学教授の「三好 明夫」先生が、2004年頃に愛媛新聞に寄稿されていた、『介護人への12章』です。 三好先生のご紹介はこちら 【介護人への12章】 ~入浴 高齢者の希望優先して~ ■ 老人ホームでの入浴 「ここの老人ホームは良泉で知られる〇〇温泉を引き湯しており、自然に恵まれた環境の中にあります」ーー10年以上も前に私が勤務していた特別養護老人ホームのキャッチフレーズの一節です。  近年の温泉ブームや温泉療法に支えられることなく、その時代にも、泉質の良さにひかれて利用される高齢者は少なくありませんでした。 温泉入浴での一服は、今も昔も高齢者にとって心身の休養になっているようです。    今でこそ当たり前になった夜間入浴ですが、当時は昼間が主流でした。 中には、午前の早い時間に実施し、「施設でも朝風呂に入れるあなたたちは幸せ者よ」と言うとんでもない職員もいました。 温泉旅行に出かけて、朝の露天風呂に入るというのは、本人の意思によるものです。職員の勤務パターンに当てはめた入浴に、どんな幸せがあるというのでしょうか。    また、高齢者一人につき「週に2回以上の入浴」という最低基準がありますが、それが最高基準になってしまっている施設もあります。  入浴の希望日や時間帯、入浴時間を高齢者自身で決定できる施設はまだ少ないのも事実です。 お風呂と言えば夜間に入るのが一般的ですが、早朝でも昼間でも夕方でも、入浴時間が5分でも20分でも、個別の希望に対応する努力が必要です。 雑菌の問題が解決することを前提とすれば、毎日24時間体制の入浴を実現することが理想でしょう。 そもそもリラックスできるはずの入浴が、制限や制約の中で、芋の子を洗うような状態で進められてはいけません。 ■高齢者の長年の生活習慣と主体性の尊重  さらに、介護者の専門性ということを考えれば、「入浴拒否者」への適切な対応が求められています。 高齢者の長年の生活習慣と主体性の尊重という状況下で、「入りたくない」という訴えにどう対処するかということです。 「入らなければ不潔、皮膚疾患の誘発」として指導すると強制になり、自己決定だからと入れなければ、放任や放置になりかねません。  長年自宅で独り暮らしをしていたH男さんは、月に1回程度の入浴と下着の交換を続けてきたこともあって、施設でもなかなか入ろうとしません。 介護主任が入りたくない理由を確かめたところ、「入らなくても死なない」し、とにかく面倒くさいということでした。  次の日から、部屋の中を暖めて、湯を入れたバケツとタオルでの全身清拭(せいしき)を始めました。 週に2回、部屋での清拭が続いた2ヶ月後、H男さんは「やっぱり自分でぬくもれる風呂がええ。次から風呂に連れていってくれるか」と話してくれたのです。 ■ さいごに  「入ると気持ち良さそうにするのに、入ってもらうまでが大変」という施設側の声を聞きます。 高齢者自身に、お風呂に入る楽しみがなくなっているのかもしれません。 「早く入りなさい」「早く出なさい」ではそうかもしれません。 元記事の著者  三好 明夫  ノートルダム女子大学 社会福祉学 教授  https://notredame-db.net/detail.php?id=65
コラム紹介とは こんにちは!ふくみっとの中の人です! 「コラム紹介」とは!私が出会ったコラムの中で、介護職に携わる皆さまにぜひお伝えしたい名コラムを紹介するコーナーです! このコラムは、福祉人材の育成に尽力されているノートルダム女子大学教授の「三好 明夫」先生が、2004年頃に愛媛新聞に寄稿されていた、『介護人への12章』です。 三好先生のご紹介はこちら 【介護人への12章】 ~入浴 高齢者の希望優先して~ ■ 老人ホームでの入浴 「ここの老人ホームは良泉で知られる〇〇温泉を引き湯しており、自然に恵まれた環境の中にあります」ーー10年以上も前に私が勤務していた特別養護老人ホームのキャッチフレーズの一節です。  近年の温泉ブームや温泉療法に支えられることなく、その時代にも、泉質の良さにひかれて利用される高齢者は少なくありませんでした。 温泉入浴での一服は、今も昔も高齢者にとって心身の休養になっているようです。    今でこそ当たり前になった夜間入浴ですが、当時は昼間が主流でした。 中には、午前の早い時間に実施し、「施設でも朝風呂に入れるあなたたちは幸せ者よ」と言うとんでもない職員もいました。 温泉旅行に出かけて、朝の露天風呂に入るというのは、本人の意思によるものです。職員の勤務パターンに当てはめた入浴に、どんな幸せがあるというのでしょうか。    また、高齢者一人につき「週に2回以上の入浴」という最低基準がありますが、それが最高基準になってしまっている施設もあります。  入浴の希望日や時間帯、入浴時間を高齢者自身で決定できる施設はまだ少ないのも事実です。 お風呂と言えば夜間に入るのが一般的ですが、早朝でも昼間でも夕方でも、入浴時間が5分でも20分でも、個別の希望に対応する努力が必要です。 雑菌の問題が解決することを前提とすれば、毎日24時間体制の入浴を実現することが理想でしょう。 そもそもリラックスできるはずの入浴が、制限や制約の中で、芋の子を洗うような状態で進められてはいけません。 ■高齢者の長年の生活習慣と主体性の尊重  さらに、介護者の専門性ということを考えれば、「入浴拒否者」への適切な対応が求められています。 高齢者の長年の生活習慣と主体性の尊重という状況下で、「入りたくない」という訴えにどう対処するかということです。 「入らなければ不潔、皮膚疾患の誘発」として指導すると強制になり、自己決定だからと入れなければ、放任や放置になりかねません。  長年自宅で独り暮らしをしていたH男さんは、月に1回程度の入浴と下着の交換を続けてきたこともあって、施設でもなかなか入ろうとしません。 介護主任が入りたくない理由を確かめたところ、「入らなくても死なない」し、とにかく面倒くさいということでした。  次の日から、部屋の中を暖めて、湯を入れたバケツとタオルでの全身清拭(せいしき)を始めました。 週に2回、部屋での清拭が続いた2ヶ月後、H男さんは「やっぱり自分でぬくもれる風呂がええ。次から風呂に連れていってくれるか」と話してくれたのです。 ■ さいごに  「入ると気持ち良さそうにするのに、入ってもらうまでが大変」という施設側の声を聞きます。 高齢者自身に、お風呂に入る楽しみがなくなっているのかもしれません。 「早く入りなさい」「早く出なさい」ではそうかもしれません。 元記事の著者  三好 明夫  ノートルダム女子大学 社会福祉学 教授  https://notredame-db.net/detail.php?id=65
コラム紹介とは こんにちは!ふくみっとの中の人です! 「コラム紹介」とは!私が出会ったコラムの中で、介護職に携わる皆さまにぜひお伝えしたい名コラムを紹介するコーナーです! このコラムは、福祉人材の育成に尽力されているノートルダム女子大学教授の「三好 明夫」先生が、2004年頃に愛媛新聞に寄稿されていた、『介護人への12章』です。 三好先生のご紹介はこちら 【介護人への12章】 ~食事 生活で1番の楽しみ~ ■ 生活の中の一番の楽しみは「食べること」  飽食の時代、グルメブームなどと言われているようですが、これは一部のグルメファンや若者だけのものではありません。  介護を必要とする高齢者にも、当たり前に「パスタやピザを食べたい」などの希望があります。これは決して特別なことではありませんし、お店では「高齢者お断り」や「車いす、歩行器の方はご遠慮ください」という看板も見たことはありません。  特別養護老人ホームでの勤務時代に、食事についてのアンケートを栄養士とともに実施したことがありましたが、生活の中の一番の楽しみは「食べること」でした。 高齢者の強い希望もあって、栄養士は毎月「外食の日」と「出前の日」を設けました。 一般家庭でも月に一度程度は外食もするでしょうし、同じレシピで作ってもレストランと全く同じ味にはなりません。 何より雰囲気を味わいたいというものです。 ■ 食事介助の様子  介護保険制度が導入され、施設では効率の優先が叫ばれ、介護職員の目の回るような忙しさの中、限られた時間帯で食事介助の能率アップが目指されています。 学生が名付けた「ツバメのえさやり」もそれです。  扇状のテーブルで、一人の職員が複数の高齢者の食事介助を一度にしている風景は、まるでツバメのえさやりだというのです。 職員は「食べないと体が弱ってしまうの。 あなたのためよ」と言って慌しく詰め込んでいます。  たしかに時間がかかりすぎると、咀嚼(そしゃく)力の低下があれば疲れてしまったり眠ってしまうこともあるでしょう。 しかし介助に必要なのは「食べさせる創意工夫」ではなく「食べていただく創意工夫」の視点だと思うのです。  さらには「ネコまんま」や「混ぜご飯」と言われる介助も大手を振っています。 おかずを細かく刻んだものやペースト状のものをおかゆに混ぜ込んでしまうというものです。 揚げ句には最後のおかゆに薬を混ぜている場合もあります。 「食事の楽しみより命が大切だ」と福祉専門職の人たちは開き直るのでしょうか。 ■ さいごに  各地の施設内研修でお話させていただく時に職員から「お年寄りが混ぜご飯を希望している。 自己決定の尊重である」と言われることがあります。 何を食べているのか分からないような食べ方を続けることが尊重なのでしょうか。 ひとつひとつの豊かな食材の味が生かされる介助を目指すことこそが尊重ではないのでしょうか。    スプーンも持てなくなったことで食事の全面介助を受けていた脳梗塞(こうそく)後遺症のT子さんが、ある日、隣の方のおかずを手につまんでゆっくりと口に運んでいました。 他人の介助より、どれほど時間がかかっても自力で食べられることは素晴らしいことです。 翌日、おかゆから一口サイズの小さなおにぎりに変更になりました。 T子さんの食欲がみるみる強まっていったことはいうまでもありません。 元記事の著者  三好 明夫  ノートルダム女子大学 社会福祉学 教授  https://notredame-db.net/detail.php?id=65 関連記事はこちら 【介護人への12章-1】~少人数で家庭的な雰囲気 ユニットケア~ 【介護人への12章-2】~利用者本位へ課題残る 措置から契約に~ 【介護人への12章-3】~問われる援助者の意識 指示と説明責任~ 【介護人への12章-4】~社会常識とかけ離れる 施設病~ 【介護人への12章-5】~本当に必要な希望理解 信頼関係~ 【続介護人への12章-6】~整容 気持ちも支える工夫を~ 【続介護人への12章-7】~ホームの生活環境 日常性重視し個室化を~ 【続介護人への12章-8】~ケアマネジメント 自己選択への援助 大切~ 【続介護人への12章-9】~社会福祉士 専門性高いが低い認知度~ 【続介護人への12章-10】~援助と指導 高齢者の主体性を尊重~ 【続介護人への12章-11】~福祉の現場 職員救う援助が不可欠~ 【続介護人への12章-12】~施設の評価 専門的な外部機関必要~ 【介護人への12章-13】~排泄 恥ずかしさ思いやって~ 【介護人への12章-14】~食事 生活で1番の楽しみ~ 【介護人への12章-15】~入浴 高齢者の希望優先して~ 【介護人への12章-16】~移動 転倒防止で身体拘束?~ 【介護人への12章-17】~介護福祉士 しっかりした教育必要~ 【介護人への12章-18】~レクリエーション 外出・外食の機会確保を~ 【介護人への12章-19】~コミュニケーション 「共感」レベルの実現を~ 【介護人への12章-20】~リスクマネジメント 本人の希望実現のため~ 【介護人への12章-21】~人権を問う・上 「拘束やむを得ず」半数~ 【介護人への12章-22】~人権を問う・下 対等平等な援助不可欠~ 【介護人への12章-23】~入居者自治会 活発な活動 希望を実現~ 【介護人への12章-24】~終末期の看取り 入院せず施設に居たい~ 介護・看護・保育・福祉の求人検索はこちら
コラム紹介とは こんにちは!ふくみっとの中の人です! 「コラム紹介」とは!私が出会ったコラムの中で、介護職に携わる皆さまにぜひお伝えしたい名コラムを紹介するコーナーです! このコラムは、福祉人材の育成に尽力されているノートルダム女子大学教授の「三好 明夫」先生が、2004年頃に愛媛新聞に寄稿されていた、『介護人への12章』です。 三好先生のご紹介はこちら 【介護人への12章】 ~食事 生活で1番の楽しみ~ ■ 生活の中の一番の楽しみは「食べること」  飽食の時代、グルメブームなどと言われているようですが、これは一部のグルメファンや若者だけのものではありません。  介護を必要とする高齢者にも、当たり前に「パスタやピザを食べたい」などの希望があります。これは決して特別なことではありませんし、お店では「高齢者お断り」や「車いす、歩行器の方はご遠慮ください」という看板も見たことはありません。  特別養護老人ホームでの勤務時代に、食事についてのアンケートを栄養士とともに実施したことがありましたが、生活の中の一番の楽しみは「食べること」でした。 高齢者の強い希望もあって、栄養士は毎月「外食の日」と「出前の日」を設けました。 一般家庭でも月に一度程度は外食もするでしょうし、同じレシピで作ってもレストランと全く同じ味にはなりません。 何より雰囲気を味わいたいというものです。 ■ 食事介助の様子  介護保険制度が導入され、施設では効率の優先が叫ばれ、介護職員の目の回るような忙しさの中、限られた時間帯で食事介助の能率アップが目指されています。 学生が名付けた「ツバメのえさやり」もそれです。  扇状のテーブルで、一人の職員が複数の高齢者の食事介助を一度にしている風景は、まるでツバメのえさやりだというのです。 職員は「食べないと体が弱ってしまうの。 あなたのためよ」と言って慌しく詰め込んでいます。  たしかに時間がかかりすぎると、咀嚼(そしゃく)力の低下があれば疲れてしまったり眠ってしまうこともあるでしょう。 しかし介助に必要なのは「食べさせる創意工夫」ではなく「食べていただく創意工夫」の視点だと思うのです。  さらには「ネコまんま」や「混ぜご飯」と言われる介助も大手を振っています。 おかずを細かく刻んだものやペースト状のものをおかゆに混ぜ込んでしまうというものです。 揚げ句には最後のおかゆに薬を混ぜている場合もあります。 「食事の楽しみより命が大切だ」と福祉専門職の人たちは開き直るのでしょうか。 ■ さいごに  各地の施設内研修でお話させていただく時に職員から「お年寄りが混ぜご飯を希望している。 自己決定の尊重である」と言われることがあります。 何を食べているのか分からないような食べ方を続けることが尊重なのでしょうか。 ひとつひとつの豊かな食材の味が生かされる介助を目指すことこそが尊重ではないのでしょうか。    スプーンも持てなくなったことで食事の全面介助を受けていた脳梗塞(こうそく)後遺症のT子さんが、ある日、隣の方のおかずを手につまんでゆっくりと口に運んでいました。 他人の介助より、どれほど時間がかかっても自力で食べられることは素晴らしいことです。 翌日、おかゆから一口サイズの小さなおにぎりに変更になりました。 T子さんの食欲がみるみる強まっていったことはいうまでもありません。 元記事の著者  三好 明夫  ノートルダム女子大学 社会福祉学 教授  https://notredame-db.net/detail.php?id=65 関連記事はこちら 【介護人への12章-1】~少人数で家庭的な雰囲気 ユニットケア~ 【介護人への12章-2】~利用者本位へ課題残る 措置から契約に~ 【介護人への12章-3】~問われる援助者の意識 指示と説明責任~ 【介護人への12章-4】~社会常識とかけ離れる 施設病~ 【介護人への12章-5】~本当に必要な希望理解 信頼関係~ 【続介護人への12章-6】~整容 気持ちも支える工夫を~ 【続介護人への12章-7】~ホームの生活環境 日常性重視し個室化を~ 【続介護人への12章-8】~ケアマネジメント 自己選択への援助 大切~ 【続介護人への12章-9】~社会福祉士 専門性高いが低い認知度~ 【続介護人への12章-10】~援助と指導 高齢者の主体性を尊重~ 【続介護人への12章-11】~福祉の現場 職員救う援助が不可欠~ 【続介護人への12章-12】~施設の評価 専門的な外部機関必要~ 【介護人への12章-13】~排泄 恥ずかしさ思いやって~ 【介護人への12章-14】~食事 生活で1番の楽しみ~ 【介護人への12章-15】~入浴 高齢者の希望優先して~ 【介護人への12章-16】~移動 転倒防止で身体拘束?~ 【介護人への12章-17】~介護福祉士 しっかりした教育必要~ 【介護人への12章-18】~レクリエーション 外出・外食の機会確保を~ 【介護人への12章-19】~コミュニケーション 「共感」レベルの実現を~ 【介護人への12章-20】~リスクマネジメント 本人の希望実現のため~ 【介護人への12章-21】~人権を問う・上 「拘束やむを得ず」半数~ 【介護人への12章-22】~人権を問う・下 対等平等な援助不可欠~ 【介護人への12章-23】~入居者自治会 活発な活動 希望を実現~ 【介護人への12章-24】~終末期の看取り 入院せず施設に居たい~ 介護・看護・保育・福祉の求人検索はこちら
コラム紹介とは こんにちは!ふくみっとの中の人です! 「コラム紹介」とは!私が出会ったコラムの中で、介護職に携わる皆さまにぜひお伝えしたい名コラムを紹介するコーナーです! このコラムは、福祉人材の育成に尽力されているノートルダム女子大学教授の「三好 明夫」先生が、2004年頃に愛媛新聞に寄稿されていた、『介護人への12章』です。 三好先生のご紹介はこちら 【介護人への12章】 ~排泄 恥ずかしさ思いやって~ ■「生きていて良かった」と思える介護が必要  介護は、まだ名称のなかった家族による世話の時代から含めるととても長い歴史があります。 ですが、長く続けられてきたからといって当時のままの意識や方法でよいのでしょうか。  介護の現場に身を置いていた私が実感したことは「介護はとても奥深いものだが、いくらでも手抜きができる」ということでした。 平均寿命が延び、長寿社会の到来と言われて久しくなりましたが、長寿とは「長生きできることが幸せ」という意味であり、介護の専門職でも家族でもなく高齢者自身が言葉にするものでなければなりません。 人は生きているかぎり必ず老います。 とすれば高齢者福祉の充実は人ごとではないはずです。 どのような重い障害を抱えていても、満足のいく手厚い介護を受けることができ「生きていて良かった」と思える介護が必要であるということに異存はないと思います。 しかも、高齢者は現在の豊かな日本を汗して築いてくれた「社会の宝」なのですから。 ■ 排泄介護について  さて、「排泄(はいせつ)」「入浴」「食事」「移動」を四大介護と呼びます。 この中で、必要不可欠な生理行為である「排泄」から話を進めていきたいと思います。   ある老人大学で排泄介護について受講生に尋ねたところ「おしめになったら終わりや」「自分でトイレに行けなくなったら生きていられない」という答えがかえってきました。  排泄という最もしゅう恥心の伴う行為を他者に委ねなければならないことは強い不安や屈辱感も伴うものです。 ですがどうでしょうか。 充実した設備と介護者を提供するはずの特別養護老人ホームでさえ、薄っぺらなカーテンを閉めることなく他人の面前に陰部をさらすオムツ交換や数度の失禁での安易なオムツへの転換、痴ほう症での便練りや便食べを防ぐためのつなぎ服の着用などが日常的に行われています。 こんな介護職員もいました。 「おしっこが出そうだから」と呼び止めるお年寄りに返した言葉が「心配しなくていいのよ。オムツをしているから安心して。出たら換えてあげるからね」と。 ブラックユーモアだとほほ笑んでいる場合ではありません。 いずれの行為も虐待ではないかと指摘するのは言い過ぎでしょうか。  すこぶる元気だったF子さんが肛門(こうもん)の病気があったからとはいえ、自身でオムツの着用を申し出たことを思い出します。 本人の強い希望を優先した結果、痴ほうの発症と急速な進行につながったのではないかという反省も後悔に終わりました。 「気の毒ながな」を繰り返していたF子さんの本当の心根に寄り添えなかったのです。 ■ さいごに  介護の行為は当事者と家族に了解を得ることはもちろんですが、 「自分がされて嫌なことはしない。してもらってありがたいことを提供する」という単純明快な姿勢を抜け落としてしまっては、どれほどの経験年数や国家資格を持っていても高齢者の真の満足は得られないのです。 元記事の著者  三好 明夫  ノートルダム女子大学 社会福祉学 教授  https://notredame-db.net/detail.php?id=65
コラム紹介とは こんにちは!ふくみっとの中の人です! 「コラム紹介」とは!私が出会ったコラムの中で、介護職に携わる皆さまにぜひお伝えしたい名コラムを紹介するコーナーです! このコラムは、福祉人材の育成に尽力されているノートルダム女子大学教授の「三好 明夫」先生が、2004年頃に愛媛新聞に寄稿されていた、『介護人への12章』です。 三好先生のご紹介はこちら 【介護人への12章】 ~排泄 恥ずかしさ思いやって~ ■「生きていて良かった」と思える介護が必要  介護は、まだ名称のなかった家族による世話の時代から含めるととても長い歴史があります。 ですが、長く続けられてきたからといって当時のままの意識や方法でよいのでしょうか。  介護の現場に身を置いていた私が実感したことは「介護はとても奥深いものだが、いくらでも手抜きができる」ということでした。 平均寿命が延び、長寿社会の到来と言われて久しくなりましたが、長寿とは「長生きできることが幸せ」という意味であり、介護の専門職でも家族でもなく高齢者自身が言葉にするものでなければなりません。 人は生きているかぎり必ず老います。 とすれば高齢者福祉の充実は人ごとではないはずです。 どのような重い障害を抱えていても、満足のいく手厚い介護を受けることができ「生きていて良かった」と思える介護が必要であるということに異存はないと思います。 しかも、高齢者は現在の豊かな日本を汗して築いてくれた「社会の宝」なのですから。 ■ 排泄介護について  さて、「排泄(はいせつ)」「入浴」「食事」「移動」を四大介護と呼びます。 この中で、必要不可欠な生理行為である「排泄」から話を進めていきたいと思います。   ある老人大学で排泄介護について受講生に尋ねたところ「おしめになったら終わりや」「自分でトイレに行けなくなったら生きていられない」という答えがかえってきました。  排泄という最もしゅう恥心の伴う行為を他者に委ねなければならないことは強い不安や屈辱感も伴うものです。 ですがどうでしょうか。 充実した設備と介護者を提供するはずの特別養護老人ホームでさえ、薄っぺらなカーテンを閉めることなく他人の面前に陰部をさらすオムツ交換や数度の失禁での安易なオムツへの転換、痴ほう症での便練りや便食べを防ぐためのつなぎ服の着用などが日常的に行われています。 こんな介護職員もいました。 「おしっこが出そうだから」と呼び止めるお年寄りに返した言葉が「心配しなくていいのよ。オムツをしているから安心して。出たら換えてあげるからね」と。 ブラックユーモアだとほほ笑んでいる場合ではありません。 いずれの行為も虐待ではないかと指摘するのは言い過ぎでしょうか。  すこぶる元気だったF子さんが肛門(こうもん)の病気があったからとはいえ、自身でオムツの着用を申し出たことを思い出します。 本人の強い希望を優先した結果、痴ほうの発症と急速な進行につながったのではないかという反省も後悔に終わりました。 「気の毒ながな」を繰り返していたF子さんの本当の心根に寄り添えなかったのです。 ■ さいごに  介護の行為は当事者と家族に了解を得ることはもちろんですが、 「自分がされて嫌なことはしない。してもらってありがたいことを提供する」という単純明快な姿勢を抜け落としてしまっては、どれほどの経験年数や国家資格を持っていても高齢者の真の満足は得られないのです。 元記事の著者  三好 明夫  ノートルダム女子大学 社会福祉学 教授  https://notredame-db.net/detail.php?id=65
コラム紹介とは こんにちは!ふくみっとの中の人です! 「コラム紹介」とは!私が出会ったコラムの中で、介護職に携わる皆さまにぜひお伝えしたい名コラムを紹介するコーナーです! このコラムは、福祉人材の育成に尽力されているノートルダム女子大学教授の「三好 明夫」先生が、2004年頃に愛媛新聞に寄稿されていた、『介護人への12章』です。 三好先生のご紹介はこちら 【続:介護人への12章】  ~施設の評価 専門的な外部機関必要~ ■住み慣れた地域で暮らしていける生活の継続の保障  大きく経済発展した日本ですが、貧弱な福祉実態はまだ、どしりと鎮座しています。 経済成長の裏で、その歯車に組み込まれることが許されなかった高齢者、障害者がいることを忘れてはいけません。    施設の長期利用では、まだまだ規制や制限が多く、高齢者の満足な生活の保障は難しい状況です。 また長期に利用することで家族が家族としての関係を放棄するかのような、家族分離が促進されてしまう傾向があります。 施設であっても在宅であっても、家族には家族としての最低限度の役割を果たしてもらいながら、住み慣れた地域で暮らしていける生活の継続の保障が必要となるでしょう。  そのためには専門的な人的資源が必要となります。人間としての生活の復活は、専門職の意識、意欲、そして行動にすべてかかっていると言っても言い過ぎではないと思います。 ややもすると高齢者の身体や精神の障害の改善、緩和にばかり目を向けてしまいがちですが、大切なのは内面の葛藤(かっとう)、苦痛、怒りといった、目に見えない心の障害をどう克服していくことができるのかを考えていくことです。 ■よりよい質の高いサービスの継続的提供  さまざまな福祉サービスを利用することは当然の権利です。 ですが、福祉サービスの内容はどこまで、高齢者の人権に配慮されたものになっているでしょうか。 サービスの量の確保は叫ばれて久しいと思うのですが、質の確保が遅れているように思えてなりません。 質の低下によって高齢者が心身に苦痛を強いられていくことは許されません。 そのためには高齢者やその家族がいつでも苦情を申し立て、改善、是正を求めることが容易にできるシステム、また外部の独立した専門的な機関、団体が人権侵害の事実について調査して評価し、その結果を公表していくシステムの構築が必要になっていると思います。  福祉サービスは、単発で適当に行われるものではありません。 「よりよい質の高いサービスの継続的提供」ということでは、これらのシステムの導入は不可欠であると思うのです。 ■ さいごに  外部の目線にさらされ、外部の意見に耳を傾けていくことで、指摘を契機として改善に努力していく姿勢が整ったという施設もあります。 もちろん、評価機関は正しい評価結果を出すために研さん、研修を重ね、精度を高めることは言うまでもありません。 施設側も、外部評価だけでなく、自己点検や評価などが必要です。「はじめに高齢者ありき」。 このことをいつも念じていく中でこそ、「共生福祉」の扉が開かれるのではないでしょうか。 元記事の著者  三好 明夫  ノートルダム女子大学 社会福祉学 教授  https://notredame-db.net/detail.php?id=65 notredame-db.net/detail.php?id=65 関連記事はこちら 【介護人への12章-1】~少人数で家庭的な雰囲気 ユニットケア~ 【介護人への12章-2】~利用者本位へ課題残る 措置から契約に~ 【介護人への12章-3】~問われる援助者の意識 指示と説明責任~ 【介護人への12章-4】~社会常識とかけ離れる 施設病~ 【介護人への12章-5】~本当に必要な希望理解 信頼関係~ 【続介護人への12章-6】~整容 気持ちも支える工夫を~ 【続介護人への12章-7】~ホームの生活環境 日常性重視し個室化を~ 【続介護人への12章-8】~ケアマネジメント 自己選択への援助 大切~ 【続介護人への12章-9】~社会福祉士 専門性高いが低い認知度~ 【続介護人への12章-10】~援助と指導 高齢者の主体性を尊重~ 【続介護人への12章-11】~福祉の現場 職員救う援助が不可欠~ 【続介護人への12章-12】~施設の評価 専門的な外部機関必要~ 【介護人への12章-13】~排泄 恥ずかしさ思いやって~ 【介護人への12章-14】~食事 生活で1番の楽しみ~ 【介護人への12章-15】~入浴 高齢者の希望優先して~ 【介護人への12章-16】~移動 転倒防止で身体拘束?~ 【介護人への12章-17】~介護福祉士 しっかりした教育必要~ 【介護人への12章-18】~レクリエーション 外出・外食の機会確保を~ 【介護人への12章-19】~コミュニケーション 「共感」レベルの実現を~ 【介護人への12章-20】~リスクマネジメント 本人の希望実現のため~ 【介護人への12章-21】~人権を問う・上 「拘束やむを得ず」半数~ 【介護人への12章-22】~人権を問う・下 対等平等な援助不可欠~ 【介護人への12章-23】~入居者自治会 活発な活動 希望を実現~ 【介護人への12章-24】~終末期の看取り 入院せず施設に居たい~ 介護・看護・保育・福祉の求人検索はこちら
コラム紹介とは こんにちは!ふくみっとの中の人です! 「コラム紹介」とは!私が出会ったコラムの中で、介護職に携わる皆さまにぜひお伝えしたい名コラムを紹介するコーナーです! このコラムは、福祉人材の育成に尽力されているノートルダム女子大学教授の「三好 明夫」先生が、2004年頃に愛媛新聞に寄稿されていた、『介護人への12章』です。 三好先生のご紹介はこちら 【続:介護人への12章】  ~施設の評価 専門的な外部機関必要~ ■住み慣れた地域で暮らしていける生活の継続の保障  大きく経済発展した日本ですが、貧弱な福祉実態はまだ、どしりと鎮座しています。 経済成長の裏で、その歯車に組み込まれることが許されなかった高齢者、障害者がいることを忘れてはいけません。    施設の長期利用では、まだまだ規制や制限が多く、高齢者の満足な生活の保障は難しい状況です。 また長期に利用することで家族が家族としての関係を放棄するかのような、家族分離が促進されてしまう傾向があります。 施設であっても在宅であっても、家族には家族としての最低限度の役割を果たしてもらいながら、住み慣れた地域で暮らしていける生活の継続の保障が必要となるでしょう。  そのためには専門的な人的資源が必要となります。人間としての生活の復活は、専門職の意識、意欲、そして行動にすべてかかっていると言っても言い過ぎではないと思います。 ややもすると高齢者の身体や精神の障害の改善、緩和にばかり目を向けてしまいがちですが、大切なのは内面の葛藤(かっとう)、苦痛、怒りといった、目に見えない心の障害をどう克服していくことができるのかを考えていくことです。 ■よりよい質の高いサービスの継続的提供  さまざまな福祉サービスを利用することは当然の権利です。 ですが、福祉サービスの内容はどこまで、高齢者の人権に配慮されたものになっているでしょうか。 サービスの量の確保は叫ばれて久しいと思うのですが、質の確保が遅れているように思えてなりません。 質の低下によって高齢者が心身に苦痛を強いられていくことは許されません。 そのためには高齢者やその家族がいつでも苦情を申し立て、改善、是正を求めることが容易にできるシステム、また外部の独立した専門的な機関、団体が人権侵害の事実について調査して評価し、その結果を公表していくシステムの構築が必要になっていると思います。  福祉サービスは、単発で適当に行われるものではありません。 「よりよい質の高いサービスの継続的提供」ということでは、これらのシステムの導入は不可欠であると思うのです。 ■ さいごに  外部の目線にさらされ、外部の意見に耳を傾けていくことで、指摘を契機として改善に努力していく姿勢が整ったという施設もあります。 もちろん、評価機関は正しい評価結果を出すために研さん、研修を重ね、精度を高めることは言うまでもありません。 施設側も、外部評価だけでなく、自己点検や評価などが必要です。「はじめに高齢者ありき」。 このことをいつも念じていく中でこそ、「共生福祉」の扉が開かれるのではないでしょうか。 元記事の著者  三好 明夫  ノートルダム女子大学 社会福祉学 教授  https://notredame-db.net/detail.php?id=65 notredame-db.net/detail.php?id=65 関連記事はこちら 【介護人への12章-1】~少人数で家庭的な雰囲気 ユニットケア~ 【介護人への12章-2】~利用者本位へ課題残る 措置から契約に~ 【介護人への12章-3】~問われる援助者の意識 指示と説明責任~ 【介護人への12章-4】~社会常識とかけ離れる 施設病~ 【介護人への12章-5】~本当に必要な希望理解 信頼関係~ 【続介護人への12章-6】~整容 気持ちも支える工夫を~ 【続介護人への12章-7】~ホームの生活環境 日常性重視し個室化を~ 【続介護人への12章-8】~ケアマネジメント 自己選択への援助 大切~ 【続介護人への12章-9】~社会福祉士 専門性高いが低い認知度~ 【続介護人への12章-10】~援助と指導 高齢者の主体性を尊重~ 【続介護人への12章-11】~福祉の現場 職員救う援助が不可欠~ 【続介護人への12章-12】~施設の評価 専門的な外部機関必要~ 【介護人への12章-13】~排泄 恥ずかしさ思いやって~ 【介護人への12章-14】~食事 生活で1番の楽しみ~ 【介護人への12章-15】~入浴 高齢者の希望優先して~ 【介護人への12章-16】~移動 転倒防止で身体拘束?~ 【介護人への12章-17】~介護福祉士 しっかりした教育必要~ 【介護人への12章-18】~レクリエーション 外出・外食の機会確保を~ 【介護人への12章-19】~コミュニケーション 「共感」レベルの実現を~ 【介護人への12章-20】~リスクマネジメント 本人の希望実現のため~ 【介護人への12章-21】~人権を問う・上 「拘束やむを得ず」半数~ 【介護人への12章-22】~人権を問う・下 対等平等な援助不可欠~ 【介護人への12章-23】~入居者自治会 活発な活動 希望を実現~ 【介護人への12章-24】~終末期の看取り 入院せず施設に居たい~ 介護・看護・保育・福祉の求人検索はこちら
コラム紹介とは こんにちは!ふくみっとの中の人です! 「コラム紹介」とは!私が出会ったコラムの中で、介護職に携わる皆さまにぜひお伝えしたい名コラムを紹介するコーナーです! このコラムは、福祉人材の育成に尽力されているノートルダム女子大学教授の「三好 明夫」先生が、2004年頃に愛媛新聞に寄稿されていた、『介護人への12章』です。 三好先生のご紹介はこちら 【続:介護人への12章】  ~福祉の現場 職員救う援助が不可欠~ ■新鮮で純粋な学生たちが見たもの  施設職員として勤務していた時、「特別養護老人ホームには、特別養護老人ホーム独特のにおいがあるように思います」という実習学生からの言葉が印象に残っています。 このことは、建物に充満している排せつ物と消毒液のにおいが混ざって汚臭になっている、ということで語られたのではありません。 新鮮で純粋な学生たちが見たものは、在宅の生活、つまり人間らしい生活とは程遠い、管理と指導に満ちた違和感の「におい」だったのです。  施設か在宅かの二者択一の選択肢しかない状況にあって、在宅介護が限界となったとき、家族は無条件で施設介護を受け入れなければならないことについての問題提起でした。 「生きる」というよりも「生かされているだけ」とも語り、涙した学生たちは現在、どんなすてきな援助者として活躍しているのでしょうか。 ■ 「施設は人なり」  私は「介護の質は介護職員の質によって決まる」と考えてきました。 また、ある人は「その施設の職員を見れば、施設の高齢者の様子が分かる。 高齢者の様子を見れば、職員の様子が分かる」と言っています。  介護を受けなければ生きられない高齢者は、妥当な意見があっても、職員の機嫌を損ねると介護が乱暴になることを知っています。 「何か困ったことはないですか」と尋ねられたら、 「ありがとうございます。おかげさまで楽しく暮らしております」と笑顔になって、合掌までしています。  家族もなかなか本音で意見を言うことはできません。 ボランティアが意見を出しても「実態を詳しく知らない人が知ったように言わないで」とあしらわれてしまいます。 こうした中で、施設の実態を、最も正確に判断して是非を問うことができるのは施設職員ではないでしょうか。  しかし、職員にとっては最も過酷な「踏み絵」があります。人権侵害を是正しようと思えば、手抜き介護を続けておきたいと思っている大勢の職員から、猛烈な反発と嫌がらせの実力行使を受けるからです。 孤立化を覚悟するだけでなく、自身の退職を決意して臨まなければなりません。 むろん、職員たちばかりを責めることはできません。  施設の経営者からは「福祉現場はボランティア精神だから」とボランティアの強要もあります。 低待遇で脇目も振らずに働かされて疲れ切ってしまった職員に、精神的余裕などあるはずがありません。 ■ さいごに  それでも人権擁護の姿勢で提言したにもかかわらず、介護の体制や姿勢は全く変わらないということは少なくありません。 高齢者から慕われ信頼され、ともに歩んできた職員が、いつの時代も介護の現場を去らなければならない実態に、胸を突かれます。  職員の苦悩はどこの誰が解消してくれるのでしょうか。 「施設は人なり」ーー質の高いケアやサービスを実施するには、職員たちを救う援助が不可欠です。 元記事の著者  三好 明夫  ノートルダム女子大学 社会福祉学 教授  https://notredame-db.net/detail.php?id=65 notredame-db.net/detail.php?id=65 関連記事はこちら 【介護人への12章-1】~少人数で家庭的な雰囲気 ユニットケア~ 【介護人への12章-2】~利用者本位へ課題残る 措置から契約に~ 【介護人への12章-3】~問われる援助者の意識 指示と説明責任~ 【介護人への12章-4】~社会常識とかけ離れる 施設病~ 【介護人への12章-5】~本当に必要な希望理解 信頼関係~ 【続介護人への12章-6】~整容 気持ちも支える工夫を~ 【続介護人への12章-7】~ホームの生活環境 日常性重視し個室化を~ 【続介護人への12章-8】~ケアマネジメント 自己選択への援助 大切~ 【続介護人への12章-9】~社会福祉士 専門性高いが低い認知度~ 【続介護人への12章-10】~援助と指導 高齢者の主体性を尊重~ 【続介護人への12章-11】~福祉の現場 職員救う援助が不可欠~ 【続介護人への12章-12】~施設の評価 専門的な外部機関必要~ 【介護人への12章-13】~排泄 恥ずかしさ思いやって~ 【介護人への12章-14】~食事 生活で1番の楽しみ~ 【介護人への12章-15】~入浴 高齢者の希望優先して~ 【介護人への12章-16】~移動 転倒防止で身体拘束?~ 【介護人への12章-17】~介護福祉士 しっかりした教育必要~ 【介護人への12章-18】~レクリエーション 外出・外食の機会確保を~ 【介護人への12章-19】~コミュニケーション 「共感」レベルの実現を~ 【介護人への12章-20】~リスクマネジメント 本人の希望実現のため~ 【介護人への12章-21】~人権を問う・上 「拘束やむを得ず」半数~ 【介護人への12章-22】~人権を問う・下 対等平等な援助不可欠~ 【介護人への12章-23】~入居者自治会 活発な活動 希望を実現~ 【介護人への12章-24】~終末期の看取り 入院せず施設に居たい~ 介護・看護・保育・福祉の求人検索はこちら
コラム紹介とは こんにちは!ふくみっとの中の人です! 「コラム紹介」とは!私が出会ったコラムの中で、介護職に携わる皆さまにぜひお伝えしたい名コラムを紹介するコーナーです! このコラムは、福祉人材の育成に尽力されているノートルダム女子大学教授の「三好 明夫」先生が、2004年頃に愛媛新聞に寄稿されていた、『介護人への12章』です。 三好先生のご紹介はこちら 【続:介護人への12章】  ~福祉の現場 職員救う援助が不可欠~ ■新鮮で純粋な学生たちが見たもの  施設職員として勤務していた時、「特別養護老人ホームには、特別養護老人ホーム独特のにおいがあるように思います」という実習学生からの言葉が印象に残っています。 このことは、建物に充満している排せつ物と消毒液のにおいが混ざって汚臭になっている、ということで語られたのではありません。 新鮮で純粋な学生たちが見たものは、在宅の生活、つまり人間らしい生活とは程遠い、管理と指導に満ちた違和感の「におい」だったのです。  施設か在宅かの二者択一の選択肢しかない状況にあって、在宅介護が限界となったとき、家族は無条件で施設介護を受け入れなければならないことについての問題提起でした。 「生きる」というよりも「生かされているだけ」とも語り、涙した学生たちは現在、どんなすてきな援助者として活躍しているのでしょうか。 ■ 「施設は人なり」  私は「介護の質は介護職員の質によって決まる」と考えてきました。 また、ある人は「その施設の職員を見れば、施設の高齢者の様子が分かる。 高齢者の様子を見れば、職員の様子が分かる」と言っています。  介護を受けなければ生きられない高齢者は、妥当な意見があっても、職員の機嫌を損ねると介護が乱暴になることを知っています。 「何か困ったことはないですか」と尋ねられたら、 「ありがとうございます。おかげさまで楽しく暮らしております」と笑顔になって、合掌までしています。  家族もなかなか本音で意見を言うことはできません。 ボランティアが意見を出しても「実態を詳しく知らない人が知ったように言わないで」とあしらわれてしまいます。 こうした中で、施設の実態を、最も正確に判断して是非を問うことができるのは施設職員ではないでしょうか。  しかし、職員にとっては最も過酷な「踏み絵」があります。人権侵害を是正しようと思えば、手抜き介護を続けておきたいと思っている大勢の職員から、猛烈な反発と嫌がらせの実力行使を受けるからです。 孤立化を覚悟するだけでなく、自身の退職を決意して臨まなければなりません。 むろん、職員たちばかりを責めることはできません。  施設の経営者からは「福祉現場はボランティア精神だから」とボランティアの強要もあります。 低待遇で脇目も振らずに働かされて疲れ切ってしまった職員に、精神的余裕などあるはずがありません。 ■ さいごに  それでも人権擁護の姿勢で提言したにもかかわらず、介護の体制や姿勢は全く変わらないということは少なくありません。 高齢者から慕われ信頼され、ともに歩んできた職員が、いつの時代も介護の現場を去らなければならない実態に、胸を突かれます。  職員の苦悩はどこの誰が解消してくれるのでしょうか。 「施設は人なり」ーー質の高いケアやサービスを実施するには、職員たちを救う援助が不可欠です。 元記事の著者  三好 明夫  ノートルダム女子大学 社会福祉学 教授  https://notredame-db.net/detail.php?id=65 notredame-db.net/detail.php?id=65 関連記事はこちら 【介護人への12章-1】~少人数で家庭的な雰囲気 ユニットケア~ 【介護人への12章-2】~利用者本位へ課題残る 措置から契約に~ 【介護人への12章-3】~問われる援助者の意識 指示と説明責任~ 【介護人への12章-4】~社会常識とかけ離れる 施設病~ 【介護人への12章-5】~本当に必要な希望理解 信頼関係~ 【続介護人への12章-6】~整容 気持ちも支える工夫を~ 【続介護人への12章-7】~ホームの生活環境 日常性重視し個室化を~ 【続介護人への12章-8】~ケアマネジメント 自己選択への援助 大切~ 【続介護人への12章-9】~社会福祉士 専門性高いが低い認知度~ 【続介護人への12章-10】~援助と指導 高齢者の主体性を尊重~ 【続介護人への12章-11】~福祉の現場 職員救う援助が不可欠~ 【続介護人への12章-12】~施設の評価 専門的な外部機関必要~ 【介護人への12章-13】~排泄 恥ずかしさ思いやって~ 【介護人への12章-14】~食事 生活で1番の楽しみ~ 【介護人への12章-15】~入浴 高齢者の希望優先して~ 【介護人への12章-16】~移動 転倒防止で身体拘束?~ 【介護人への12章-17】~介護福祉士 しっかりした教育必要~ 【介護人への12章-18】~レクリエーション 外出・外食の機会確保を~ 【介護人への12章-19】~コミュニケーション 「共感」レベルの実現を~ 【介護人への12章-20】~リスクマネジメント 本人の希望実現のため~ 【介護人への12章-21】~人権を問う・上 「拘束やむを得ず」半数~ 【介護人への12章-22】~人権を問う・下 対等平等な援助不可欠~ 【介護人への12章-23】~入居者自治会 活発な活動 希望を実現~ 【介護人への12章-24】~終末期の看取り 入院せず施設に居たい~ 介護・看護・保育・福祉の求人検索はこちら