こんにちは!ふくみっとの中の人です!
「コラム紹介」とは!私が出会ったコラムの中で、介護職に携わる皆さまにぜひお伝えしたい名コラムを紹介するコーナーです!
このコラムは、福祉人材の育成に尽力されているノートルダム女子大学教授の「三好 明夫」先生が、2004年頃に愛媛新聞に寄稿されていた、『介護人への12章』です。
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県外の社会福祉士養成校の通信課程で老人福祉論を担当しています。
受講者のほとんどが社会人で、その半数は福祉施設・団体などで実際に勤務している人たちです。
私は、いつまでたってもなくならない施設での高齢者への人権侵害行為の改善を問い掛けたいという思いから、リポート試験に、「虐待・拘束、プライバシー、性的羞恥(しゅうち)心、肖像権、呼称の5つのキーワード解説を行い、高齢者への権利侵害を予防する方法を論じなさい」と課題を出しました。
提出された200人近いリポートのすべてを読み採点を終えたところです。
「拘束」は、安全や事故防止のために行われるのなら仕方がなく、廃止することは難しいという意見が半数以上ありました。
この中には「入所時に、家族から縛ってもかまいませんと申し出るケースもある」とか、「ショートステイの申し込み窓口で、うちは縛ったりしませんから徘徊(はいかい)のある痴ほうはお断りしますと回答している」というものもありました。
「家族が拘束を拒否すると、安全に責任がもてないので申し込みを丁寧に断る」施設も少なくありませんでした。
また、「職員のとっさの判断で、頭を小突いたり、尻をたたいたり、食事や排せつのミスに対して当然のように罰を与えることがある」「指示を出して通じないと本人のせいにして叱(しか)り、怒り、痴ほうがあればさらにエスカレートする」との文章もありました。
職員の善かれと思う行為が不愉快な思いや肉体的苦痛を強いていることはないのでしょうか。
本人のためでも、結果としてしごきやイジメになっているかもしれません。
「プライバシーの侵害」とは、自分の秘密や私生活の部分を自分の意思に反して知られてしまうことです。
「大部屋での環境や身体介護優先の建物構造ではある程度は仕方ない」という意見がありました。
個室の是非については、高齢者はもともと、集団で雑談などを好むという傾向や個室だと夜が寂しいという意見があり、個人の尊重を考えれば、個室がすべてではないというリポートもありました。
しかし、大部屋の場合には、冷暖房や、薄っぺらなカーテン1枚でオナラやイビキも共有しなければなりません。
消灯後のテレビも同室者から嫌がられると見られません。夜間のホールでのテレビが禁止だと好きな番組は永久に見られないことになります。
最近、福祉施設見学の要請も増えていますが、見学を希望する側の動機と施設側の判断だけで、利用者の意思を無視していることはないのでしょうか。
大部屋の出入り口で入退室のあいさつをきちんとしている施設はほとんどありませんし、高齢者の個人情報をおもしろおかしく職員同士でおしゃべりしている風景もなくなりません。
生き地獄と感じている高齢者は多いはずです。
三好 明夫
ノートルダム女子大学 社会福祉学 教授
https://notredame-db.net/detail.php?id=65
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