こんにちは!ふくみっとの中の人です!
「コラム紹介」とは!私が出会ったコラムの中で、介護職に携わる皆さまにぜひお伝えしたい名コラムを紹介するコーナーです!
このコラムは、福祉人材の育成に尽力されているノートルダム女子大学教授の「三好 明夫」先生が、2004年頃に愛媛新聞に寄稿されていた、『介護人への12章』です。
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大きく経済発展した日本ですが、貧弱な福祉実態はまだ、どしりと鎮座しています。
経済成長の裏で、その歯車に組み込まれることが許されなかった高齢者、障害者がいることを忘れてはいけません。
施設の長期利用では、まだまだ規制や制限が多く、高齢者の満足な生活の保障は難しい状況です。
また長期に利用することで家族が家族としての関係を放棄するかのような、家族分離が促進されてしまう傾向があります。
施設であっても在宅であっても、家族には家族としての最低限度の役割を果たしてもらいながら、住み慣れた地域で暮らしていける生活の継続の保障が必要となるでしょう。
そのためには専門的な人的資源が必要となります。人間としての生活の復活は、専門職の意識、意欲、そして行動にすべてかかっていると言っても言い過ぎではないと思います。
ややもすると高齢者の身体や精神の障害の改善、緩和にばかり目を向けてしまいがちですが、大切なのは内面の葛藤(かっとう)、苦痛、怒りといった、目に見えない心の障害をどう克服していくことができるのかを考えていくことです。
さまざまな福祉サービスを利用することは当然の権利です。
ですが、福祉サービスの内容はどこまで、高齢者の人権に配慮されたものになっているでしょうか。
サービスの量の確保は叫ばれて久しいと思うのですが、質の確保が遅れているように思えてなりません。
質の低下によって高齢者が心身に苦痛を強いられていくことは許されません。
そのためには高齢者やその家族がいつでも苦情を申し立て、改善、是正を求めることが容易にできるシステム、また外部の独立した専門的な機関、団体が人権侵害の事実について調査して評価し、その結果を公表していくシステムの構築が必要になっていると思います。
福祉サービスは、単発で適当に行われるものではありません。
「よりよい質の高いサービスの継続的提供」ということでは、これらのシステムの導入は不可欠であると思うのです。
外部の目線にさらされ、外部の意見に耳を傾けていくことで、指摘を契機として改善に努力していく姿勢が整ったという施設もあります。
もちろん、評価機関は正しい評価結果を出すために研さん、研修を重ね、精度を高めることは言うまでもありません。
施設側も、外部評価だけでなく、自己点検や評価などが必要です。「はじめに高齢者ありき」。
このことをいつも念じていく中でこそ、「共生福祉」の扉が開かれるのではないでしょうか。
三好 明夫
ノートルダム女子大学 社会福祉学 教授
https://notredame-db.net/detail.php?id=65
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