こんにちは!ふくみっとの中の人です!
「コラム紹介」とは!私が出会ったコラムの中で、介護職に携わる皆さまにぜひお伝えしたい名コラムを紹介するコーナーです!
このコラムは、福祉人材の育成に尽力されているノートルダム女子大学教授の「三好 明夫」先生が、2004年頃に愛媛新聞に寄稿されていた、『介護人への12章』です。
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次の3つの行為はほとんどの施設で人権侵害だと思われずに続けられています。
まず「性的羞恥(しゅうち)心」についてですが、身体的特質による男女の別において恥ずかしいと思うことは、主に排せつと入浴と着替えでの異性介助です。
特に入浴では陰部や脇の下の清潔が必要であり、洗浄方法や個人差への配慮などを徹底すると異性職員での対応はすべきではないと思います。
脱衣場で慌ただしく男女が服を脱いだり着たりしている施設がありますが、これも混浴と言えるのではないでしょうか。
高齢だから恥ずかしいことはないだろう、
理解する能力が低下しているだろうとの思い込みが、こうした行為を招いてしまいます。
「肖像権」は、「何人もその承諾なくしてその容姿、姿態を撮影されない自由を保障する」ことで、これは写真や映像の問題です。
テレビに施設の利用者が映し出されたり、施設の機関紙に大写しの顔があったりしますが、すべての掲載について意思確認が必要です。
施設内であっても、壁や掲示板への行事、記念写真などを勝手に掲示することは許されません。
「呼称」は、利用者の名前の呼び方で、永遠のテーマのように語られます。
「じいちゃん」「ばあちゃん」「花ちゃん(花子という名前)」「吉じい(吉雄という名前)」など、不特定多数への呼び方や愛称で呼びかけることがあります。
しかし、姓で「さん」と呼ぶのが原則です。愛称で呼べば親近感が沸くとか、本人の希望だからというのは、あまりに一方的です。
介護を仕事とする以上は、対等平等な立場で援助すべきです。
「ちょっと」とか「あんた」とか、呼びかけもしないで一気に排せつ介助を行ってしまう施設もあり、こうなると高齢者は不用者か物品扱いです。
私たちの活動の目的の1つに、「福祉専門職による虐待の防止と予防」があります。
人権侵害は虐待です。
施設内研修で職員にお話しさせていただくと、以上のような行為は「してはいけない」と誰もが感じています。
かつては「虐待は絶対に許されるものではない」と学校で学び確信していたはずです。
ですが、実際には「でも仕方ない。やってはいけないことだけどケースバイケース」と結果的に肯定してしまっているのです。
福祉の仕事はいくらでも手厚い援助をすることができるのですが、手抜きをすることもいくらでもできてしまいます。
福祉現場の仕事は「苦しみ、悩み、闘うこと」だと思います。
これを放棄すると「ケースバイケース」をどんどん増やす土壌が生れ、やがては後輩や新人にもまん延させていくことになります。
あなたがされて嫌なことは絶対にしない。
されてありがたいことを提供する姿勢で「苦しみ、悩む」ことを手放さず、その敵と闘える援助者になってもらいたいと思います。
三好 明夫
ノートルダム女子大学 社会福祉学 教授
https://notredame-db.net/detail.php?id=65
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