こんにちは!ふくみっとの中の人です!
「コラム紹介」とは!私が出会ったコラムの中で、介護職に携わる皆さまにぜひお伝えしたい名コラムを紹介するコーナーです!
このコラムは、福祉人材の育成に尽力されているノートルダム女子大学教授の「三好 明夫」先生が、2004年頃に愛媛新聞に寄稿されていた、『介護人への12章』です。
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老人福祉法第二条には基本的理念として「老人は多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、
かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を
保障されるものとする」とあります。
高齢者は人生の大先輩として豊かな日本を築いてくださったことには違いないはずです。
福祉の現場は介護保険導入によって、措置制度から契約の時代に入りました。
措置制度は日本では長年続けられてきた「行政処分」です。
行政権限で高齢者を施設に入所させることを「措置する」と言っていました。
入所したいと思えば申請書により都道府県知事、福祉事務所を管理する市町村長の措置が必要で、施設との直接契約はできませんでした。
施設には措置費が支払われて、施設は措置費で運営をされていくことになります。
措置費は、個々の介護状態の程度とは関係なく一律に支給されていました。
換言すれば、一人について週二回の入浴を実施している施設でも、希望すれば毎日入浴できる施設でも、措置費に違いはありませんでした。
これでは、国が決めた介護の最低基準がいつの間にか最高基準になってしまったのも仕方なかったのかもしれません。
高齢者介護の現場はその後激変しました。
在宅サービスや施設サービスの量を増やしていくゴールドプランの創設に始まり、さらに量から質へという人材の確保をも含めたゴールドプラン21には、基本目標として
「活力ある高齢者像の構築」「高齢者の尊厳の確保と自立支援」「支えあう地域社会の形成」
「利用者から信頼される介護サービスの確立」の四つの柱が示されました。
介護保険の「利用者本位」や「サービスの選択の自由」「自己決定」などに合致するものでもあります。
介護保険は、直接契約と規制緩和、市場原理を導入することになりました。
措置制度は「与えられる福祉」であったと言われています。
介護保険は契約を取り入れた「利用する福祉」です。
しかし、被保険者証だけでの利用はできず、要介護認定を受けるための申請手続きが必要です。
さらに毎月の保険料負担(介護サービスを利用しなければ掛け捨て)と、利用したサービスの一割負担が必要になりました。
「住み慣れた地域で家族とともに」と在宅サービスの充実をうたってはいたものの、現実には費用の割安感から施設入所の希望者が増加しています。
皮肉なことに直接契約ですから文句も言いにくい状況です。
また一時期は「選択の自由」は高齢者ではなく施設側にあるとさえささやかれていました。
自己負担が増えたのに自由に選択、決定できないとしたら大問題です。
前述の四つの輝く柱を、高齢者の幸福につなげるのなら、
高齢者自身が主体的に参加して提言を行う 「創造する福祉」が必要ではないでしょうか。
高齢者を弱者や要介護者とだけ見る無理解や偏見の除去が求められます。
三好 明夫
ノートルダム女子大学 社会福祉学 教授
https://notredame-db.net/detail.php?id=65
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