こんにちは!ふくみっとの中の人です!
「コラム紹介」とは!私が出会ったコラムの中で、介護職に携わる皆さまにぜひお伝えしたい名コラムを紹介するコーナーです!
このコラムは、福祉人材の育成に尽力されているノートルダム女子大学教授の「三好 明夫」先生が、2004年頃に愛媛新聞に寄稿されていた、『介護人への12章』です。
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整容動作訓練などのリハビリテーションでは、洗面、歯磨き、爪(つめ)切り、ひげそり、整髪などについての適切な動作援助を行い、自立に向けた支援を行っています。
整容行為は日常生活にはなくてはならない動作ですから、精力的な支援が必要です。
要介護の高齢者が生活して施設では、そのほとんどを介護職員が援助していくことになります。
自立に向けた支援といっても、現実には、職員が主となり行うことも多いでしょう。
爪切りやひげそりは本人だけでは危険が伴うことになりますので、安全安心を最優先に行わなければなりません。
歯磨きは、歯磨き指導と同様、入れ歯の高齢者には、入れ歯管理も重要です。入れ歯をきちんと外しておかなかったことで、歯ぐきが腫れてしまい、入れ歯が合わなくなるということもあるようです。
そうなると口から固形物が食べられなくなる恐れがあります。
洗面や洗顔は、介護状態が重い場合、おしぼりなどが使われますが、おしぼりの温かさも季節によって配慮されていく必要があるでしょう。
整髪も大切です。
髪に寝癖がついたまま食堂やホールに車いすで出ている様子を目にすることがあります。
ある施設では、職員が整髪料と小型のくしをポケットに入れて、すぐに対応できるようにしていました。
高齢者の気持ちを支える意味でも、こうした職員の工夫が必要ではないでしょうか。
さて、整容に化粧を加えてみたいと思います。
高齢女性は衣服の色柄も気にすることなく、化粧も忘れてしまっているという人がいますが、そんなことはありません。
女性は、いつまでも若く、はつらつと、美しくありたいと願っているように思います。
私が勤務していた特別養護老人ホームでは、女性から、施設内の行事に参加したり、ショッピングや花見、紅葉狩りなどに出掛けたりするときに、化粧をしていきたいという声が上がることが多くなっていました。
職員が提供した口紅ひとつにしても高齢女性たちは歓喜していました。
「お化粧クラブ」が誕生したのもそんなときでした。
化粧をクラブ活動にしてしまうことには是非があるかもしれませんが、参加できるものの選択肢を増やすことが重要ではないかと思います。
事実、クラブ活動にしたことで、女性たちは仲間を誘い合って、参加者は増加しました。
夕暮れ時、施設の庭で男性と談笑する女性の顔には、昼間の化粧クラブで習った化粧がきれいに施されているようでした。
高齢者だから着飾ることも化粧も必要ないだろうというのは、まるで、高齢者は羞恥(しゅうち)心がなくなった過去の人とされていた当時の遺物ではないかとさえ感じます。
高齢者だから、ではなく、ともに生きる人間としての存在価値をしっかりと認めた介護姿勢が求められます。
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三好 明夫
ノートルダム女子大学 社会福祉学 教授
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